2007年03月31日

いま咲くのは

いま咲くのは誰の季節だろう 
雨に濡れ まだ冷たいままのアスファルト
激しすぎたゆうべの嵐は開きかけた花を落とし
薄明かりに染まる空は嘆きにも似ていた
触れたものが総て奪われてゆくこと
信じようとすれば嘘に変わってしまうこと
交差点ですれ違う人が落ちた花を見ず
互いの行き先などけっして知らぬこと
そしてこの空は嘆きにも似ていた

信号が赤から青に青から退屈の色に
金属製の底光りする退屈の色に変わる
遠くから来た大きなトラック達が
一斉にスタートを切る
生活に必要なものたちの原料や塗料を積み
けれど名前だけはどうしても運ぶことが出来ず
正しさに唸りをあげて
街に在りどこへも行けない弱さを轢き潰して―



ふと見ればアスファルトはいつか乾いている
いま咲くのは誰の季節だろう
踏みにじられた花が最後の雨粒たちを隠しなお輝いている



posted by youcan at 10:19| Comment(0) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月28日

counterattack from the babymoles

初ライブが迫っている。

自分の名前が付かない「バンド」をやるのは何年振りだろう。
弾けないギターを弾きながら歌う。練習に練習。
声が嗄れようと、アレンジが煮詰まってしまおうと、
寝不足を押して深夜までスタジオを延長し、ときにハシゴさえしようと、
なにかを始める時のあのわくわくした気分は、冷めない。

またゆーきゃんが新しいことやりだした、と思う人がいるだろう。飽きっぽいのかな、と思う人がいるだろう。
逆。飽きないから、始めたんだよ。

w.h.b.fもあら恋meets...も、
ボロフェスタもみやこ音楽祭も、
ゆーきゃんも、counterattack from the babymolesも、
有機的に結びついて、作用し合っていろんなものを産み落としてゆく。
理由や意味を上手にことばにして伝えることはできないにしても、
僕の作るものにすこしでも興味を持ってくれたなら、
その多面性を味わって欲しいと思う。


僕はこのバンドに、これまでに獲得したアーティストとしてのアイデンティティを全部を出して、壊して、
ソロアーティストとしての自分に還元する。

いや、難しいことは抜きだ。
まずはこのライブ3本、ぜひ遊びに来て欲しい。


・2007年3月29日(木)京都木屋町UrbanGuild(http://www.urbanguild.net/
出演:長谷川健一
大和川レコード
Night terror
counterattack from the babymoles
開場:18:30  開演:19:30
前売:1800円 当日:2300円(ともにドリンク代込み)
出番は1番目です。

・2007年4月5日(木) 青山月観ル君想フ(http://www.moonromantic.com/
出演:箱庭の室内楽
   ヨメイリマエ
   GINZA LIGHTS (from福岡)
   sonic&trip
   counterattack from the babymoles
開場:18:00 開演:18:30
前売:2000円 当日:2500円(共にドリンク代別途)
出番は3番目、19時50分頃の予定です。

・2007年4月6日(金) 下北沢CLUB Que(http://www.ukproject.com/que/
出演:ウミネコサンライズ
ALOHA(from福岡)
Lodge
counterattack from the babymoles
開場:18:30 開演:19:00
前売:2000円 当日:2500円(共にドリンク代別途)
出番は1番目です。


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2007年03月18日

報告

西部講堂の掃除をした。

大学の中にあるせいか、講堂裏手には引っ越しシーズンの春には電化製品や家具がよく捨てられる。
使えるものは講堂内に引っ張り込み、
使えない物はごみ捨て場に持ってゆく。

炊事場の裏にあった仮設楽屋を解体した。
ボロフェスタでもみやこ音楽祭でもお世話になった、
20人ほど掛りで作業をすると、
ほどなく単管と簾とブルーシートで作られた部屋が消えた。
炊事場にゆっくりと射し込む冬の名残と春の階のあいだにある陽光。

3月にしては気温が上がらなかったからだろうか、それとも昼間から飲んだビールが身体を冷やしたのか、
急に寒さを感じて、表に出た。

立て替え工事のためサークルボックスの代替プレハブが建ってしまった広場、半分くらいの広さになってしまったその端まで歩く。


屋根の黄色い三つ星を見る。


今日、ここに来れて良かったと思った。



ゆーきゃん with his best friends、
随分寝かせたアルバムのリリースが決まった。
6月27日水曜日、発売。

血をしたたらせながらひたすらに進む、その一滴。
鮮やかで、甘くて、皆に愛され憎まれる、
そんな一滴になりますように。


posted by youcan at 02:04| Comment(4) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月16日

遅れて来た僕が

あなたの声を聴く
あなたのことばを聴く
あなたのためには祈らないけれど
あなたに安らぎが訪れればいいと思う

いまだ目醒めを知らず
夢のもう半分はまだ続いている
そのうち僕も風を呼んで
長い季節を旅しようと思う

遅れて来た僕が
先に出かけてしまったあなたのために
いつか一曲だけでも歌えたらいい
あなたのあの頼りない天使は
いつか僕にも見えるだろうか

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2007年03月11日

(無題)

ライブ続きだった日々も7日のファンダンゴで一段落。

セットリスト
1.太陽の雨
2.変わり
3.ローカルサーファー
4.摩天楼

ふっと意識が飛ぶ瞬間がある。
高揚感と脱力感が掛け合わさって生まれるあの真っ白な瞬間。
それが自分の表現によるものならば、喜ばしいこと。
訓練と集中力でそれをいつでも呼び込めるようにならなくては。単純な自己陶酔に陥らないように…


あら恋meetsゆーきゃんの次のライブは5月31日、磔磔。
ワゴンズのイベントに呼んでもらった。
随分と間が空くけれど、ふた月のあいだは曲作りと練習を重ねよう。
自分たちの何が強みで何が弱みなのか、知っていることは良いことだ。同時に―自分たちが何処まで進んでいけるのか、知らないこともまた、然り。



このところ、ライブを観に行くことが多い。
なかでもひたすらに感銘をうけたのは9日、アバンギルドで開かれていたSEASON OFFというイベント。
ULTRA FUCKERS、AMAZON SALIVA、Hair Stylistics、U.G.MAN。

笑いと叫びはよく似ている、と書いたのは誰だったっけ。(ちっともパンクやアヴァンギャルドの人ではなかったと思うのだけど、中原昌也氏の出すノイズを身に浴びながら、ふとその一行を思い出した)


突き抜けよう。
倒れずに居よう。
出来る限り、多めに笑おう。

JJは良く言う。
お前は練習の時からもっと楽しそうにしろ、と。もっとたくさん遊べ、と。
甲高い声で叫び、飛び跳ね、ギターを歪ませることを、今になってようやく覚え始めた。

日々が解放への訓練。
身を捩って手を汚して切り拓こうとすることは楽しい。
もっと楽しいことへ向かうためには、もっともっと上手く笑う練習をすること。

posted by youcan at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月04日

ヤンキースホリディ

ワイキキレコードの坂本君が付けたイベントタイトル。

これで気づく人がどのくらいいるのか分からないけれど(たくさん居て欲しい)、とにかくこの夜、宇宙日本世田谷区下北沢のライブハウスで演奏された三組の歌と音楽。

それが空気に作用して、ひとのこころに作用していくメカニズムが少しだけ見えた気がした。

タテさん、ピラニアンズ、素晴らしい演奏。
来てくれたお客さん、どうもありがとう。

セットリストは京都とおなじ。

1.八月のブルー
2.春を待つ
3.詩月
4.ラプソディ
5.エンディングテーマ
(アンコール sang)


ここからは私信。

僕には悩みや迷いはあるけど、
不安はすくない。
怒りや悲しみはあるけど、
恨みはすくない。

だから、僕は無理をする。
守るためではなくて、獲得するためであること。
そのことを少しだけ誇りに思っている。

僕よりも遥かに無理して飛んだはずの君に、
そのまま返したい。

無理をする人は良いと思う。


私信終わり。


次のライブはこれ。

2007年3月7日(水)十三FANDANGO(http://www.fandango-go.com
出演:kacica
   three mono surround
   Bitch Lunch Box
   ゆーきゃんmeetsあらかじめ決められた恋人たちへ
開場 18:00 / 開演 18:30
前売 2000円 / 当日 2500円(ともにドリンク代別途)

出演順は最後、20時50分ごろの予定。
久し振りのファンダンゴ、あら恋meetsゆーきゃんでは初になる。思いっきり、思いっきりやる。

チケット予約はこちらhttp://akaruiheya.moonlit.to/live_order.html


posted by youcan at 11:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月01日

会話のギャラリー

空の青は
昇っていった魂の色だと彼女は云う
目に見えるはず檻の格子
私たちはその向こうばかりを見て暮らしているのだと
云う
走り回って追いついたのが時間の影で
ひたすらに積み上げてかたちになったのが想いの破片で
きっとそれでも撮らなくてはならなかったのだと云う

そしてこんな晴れた日に弱い風があり
窓の外には待ち合わせのための気晴らしや
待ち合わせのための苛立ちや
気晴らしのための気晴らしで埋め尽くされた街があり
昇っていった魂は高度何フィートで地球にさよならするのかと
煤けた看板ごしに見上げながら今度は彼が云う
きっとここはどんな高みでさえ
生きるものたちの領空で
どんなに危険で厳しく張られた鉄条網であれ
生きるものたちへの警告で
その隣の食用鶏を加工する工場がどんなに残酷に血を絞っていたって
僕はこの街で
このギャラリーで
ただ君の撮った空の美しさに頷くほかに
誰に何を手向ければよいのか考えてるんだと
云う

日曜日の正午 地上三階の白い部屋には
壁いっぱいに並んだ問いにならない問い
答えにならない答え 対話にならない対話が
壁のこちらとあちらで始まりかけていた
(それはとても素敵な しかしやがて胸騒ぎにつながりそうな場面)
ひとりの生徒の母親の肖像を飽きるまで眺めたあと
ゆっくりと階段を降りる
息をして
 食べて
  愛したり妬んだり
   憎んだりまた願ったり
    喜びも悲しみも撮ったり描いたり歌ったりして

     
地上まで降りる頃には
何色になっているだろう

ギャラリーの出口
入れ違いにエレベーターがまた昇ってゆく
アーケードの隙間の空は弱い風に擦れて白くなってしまった
posted by youcan at 15:59| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする