2007年07月29日

目が覚めて窓の外を見れば何もかも無くなっていて
ただ蝉の声だけが終わったレコードのように世界の抜け殻を回し続けている
いつかそんな朝が来れば良いと繰り返し思った季節

耳を塞ぎ窓の外を見れば何もかもが食い尽くされていて
ただ蝉の声だけが熱帯低気圧のように地上の弱い風を叩き潰してゆく
いつかそんな朝が来れば良いと繰り返し思った季節

声をを嗄し窓の外を見れば何もかもが言い残されていて
ただ蝉の声だけが完璧な予言のように誰かが叫ぶ時代の空気を洗い流してゆく
いつかそんな朝が来れば良いと繰り返し思った季節


いったいあと何年ここに居る?
いったいあと何度ここに戻って来る?


力つきて落ちたまだ若い仲間を猫が嬲り殺しにするように
響きが洪水のように彼等を押し流し血迷った何匹かが電柱にまで管を立てるように
大通りの両脇に続く並木から放物線を描く終わらない夏を迎え葬るあまりに狂おしく荘厳なシンフォニーを子供たちが虫取り網で持ち帰ってゆくように
ただこの夏の美しさのためだけに生きれば良かったのだと
消えかける宇宙の片隅で目が覚めて知る
いつかそんな朝が来れば
いつかそんな朝が来ればと繰り返し思った季節
そんな季節が今年もやって来ていた
ねえ 君はあと何度ここに戻って来る?



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2007年07月27日

八月

ボロフェスタのことを書かなくてはならない。

去年のボロフェスタでは音量や終演時間のことで苦情が多数寄せられ、
今年に入って広場にはプレハブが建ち、
僕らは、もうこれで終わりだろうと思っていた。
会場を変えることまで考えた。
悔しかったこともあって「ボロフェスタはもう飽きた」と冗談めかして言ってみたりもした。

けれど、
僕らにとって半分ライフワークみたいになったこのお祭りを、簡単に諦めることはできなかった。
たくさんのお客さん、出演者、スタッフが、励ましてくれた。

今年も、ボロフェスタを、やる。

例年に増して課題は山積みで、逆風も強くて、
6年前とはみんなの置かれた状況も変わっていて、
楽ではないことは分かっている。
それでも、このイベントが好きでずっと一緒にやってくれている仲間たち、今年は企画に関わりたいと集まってくれた新しい仲間たちの力を借りて、
僕らは僕らで去年までの反省を徹底的に踏まえて、
高いハードルを乗り越えて行こうと思う。


まずは、これから。

"八月ボロフェスタ"
8月25日(土)、8月26日(日) 京都西部講堂
open : 13:00 / start : 14:00
close : 21:00

LIVE:
25日
少年ナイフ
toddle
the ARROWS
FLUID
GELLERS
ゆーきゃんmeetsあらかじめ決められた恋人たちへ
スーパーノア
ヨルズインザスカイ
マーガレットズロース


26日
怒髪天
倉橋ヨエコ
ULTRA Jr. [ JJ(from Limited EX.), hide(from Ultra bide), Reo(ex. ni-hao!) ]
ANATAKIKOU
54-71
加藤隆生プラス
片山ブレイカーズ&ザ・ロケンローパーティ
Kiiiiiii
neco眠る

ticket
・1日券 [前売り] : 2800yen
・1日券 [当日] : 3300yen
・2日間通し券 [前売りのみ] : 4000yen (初日のみ1drink別)

プレイガイド
・チケットぴあ 0570-02-9966
 Pコード : 1日券:267-618 / 2日間通し券 : 781-457
・borofesta HP内「チケットオーダー」からも取り置き受付中!

http://www.borofesta.com


プレイベントを派手にやりたいと、わがままを言った。2か月を切った時期からの必死のブッキングで、出演を快諾してくれたアーティスト達。
暑い暑い西部講堂で、とんでもなく暑い二日間にする。
ぜひ遊びに来てください。


今日からフジロックが始まっている。
僕はインストア→ベアーズの2DAYS。
音楽を楽しむこと。
音楽が出来るのは、ほんとうに喜びだと思う。


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2007年07月25日

きみの中にいる司祭について

「ほんとにちょっと夢みたいな時間でしたよ」
終演後、
転換中ずっとDJをしてくれていた、亮太くんが言った。

日曜日のメトロ。
スタッフと出演者を含めると300を越す数の人々。

皆があんなにも音楽を楽しみ、
音楽があんなにも誇らしげに、人間そのもののように鳴るということ。

僕は驚いた。
はじめは自分がなにか悪いことをやらかしてしまったような、そんな気にすらなったのだ。

フライヤーにば、こう書いた。

何年も前から、ずっとやってみたかったイベントがありました。
とくに奇抜なシチュエーションというわけでもなく、強烈な出演者の取り合わせというわけでもなく、
ただ地域と世代とジャンルをなんとなく横断/縦断し、
ライブアクトも、BGMも、時間と空間いっぱいに素敵な「うた」が溢れた、
ほんとうにポップミュージックが好きな人が、ほんとうに楽しめるイベントです。
CDの発売記念を口実にして、思い切ってやってみることにしました。ぜひ、遊びに来て下さい。



audio safariとまつき君とカジさんとロボピッチャーのライブ、
田中君と小山内君のDJ、
土龍くんのMC、
お客さんの拍手や笑い声、
SOLE CAFEのパスタでさえも、

それぞれが素敵な「うた」だった。
その輪のなかに居られることを、心から嬉しく思った。
みんな、ほんとうに、どうもありがとう。





きみの心のなかには司祭がいて
手には燭台とおまじないの枝のようなものを持ち
祝祭の到来を待っている
それはひどく残酷でひどく滑稽で
ひどく優しくて
限りない怒りと嘆きと喜びに満ちた単純な混沌
彼は何千年も目を閉じたまま
何千年も目を開けたまま
何千回も死を迎えては産まれ
ここでただ始まって終わるあまりにささやかな祝祭を
待っているのだった
聴いてみればいい
耳をそばだてるだけで判るかもしれない
愛も説けず希望も謳えないこのメロディの
たったひとつ押し開くことの出来る扉の軋む音が
その合図となるだろう
僕は今朝それでもって
きみの中にいる司祭を呼ぼうと思うのだ



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2007年07月20日

そしてレコ発

先週末、東京でフリーペーパーの取材を受けたとき、
あらためて思ったこと。

音楽が好きだ。

自分の話よりも音楽の話をしているときのほうが、
インタビューが断然盛り上がる。
自分のことは、他人事のようだった。

そういえば昔、土龍君にだっただろうか、
音楽になりたい・・・と言ったことがあった、
参宮橋のビルの一室でニックドレイクの話をしながら、なぜかそのことを思い出した。


レコ発ツアーが続く。

神戸はVARITの3周年記念イベントに呼ばれた。
京都はもちろん、自分主催のパーティ。

ステージに立てば、
ただ音楽になろうと思う。

君には、ただ音楽を目撃しに来てほしいと思う。

取り置きは、それぞれ当日の朝十時まで受け付けます。ぜひお越し下さい。

7月21日(土)神戸・三宮VARIT
"VARIT 3rd Season Party vol.2 〜Earthling〜"
w/SIBERIAN NEWSPAPER、THE MOVIC、 寺前未来
開場:18:00 開演:18:30
前売:2,000円 / 当日:2,500円(1drink別) 
出演順は3番目です。

7月22日(日)京都・丸太町 CLUB METRO
"aka rui heya - ゆーきゃんw.h.b.f. release party"
w/カジヒデキ(acoustic set)、まつきあゆむ、ロボピッチャー、audio safari
BGM/小山内信介(SECOND ROYAL RECORD)、田中亮太(mogran' bar、CLUB SNOOZER)
MC/土龍
FOOD/SOLE CAFE
開場/開演:18:00(ライブは22:30終了 / 24:00終演)
前売:2,200円 / 当日:2,500円(1drink別)
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2007年07月13日

レコ発

明日から来月にかけて、レコ発ライブが続く。

w.h.b.f.では初めての名古屋、久々の神戸も含め全国5都市をまわる。

たくさんの出会いがあるといい。
"sang"で描いた世界観をこんどは生で、ダイレクトに、フロアに向けて伝えること。
たくさんのひとに、何かを感じてほしいと思う。


7月14日(土)名古屋・k.d japon
"ゆーきゃんw.h.b.f 発売記念ライブ"
w/エレキベース、asana、ベベカ.
開場:18:00 開演:18:30
前売:2,000円 / 当日:2,300円(1drink別) 

7月16日(月・祝)大阪・心斎橋knave
"groundlab presents 月刊 groundlab 7月号"
w/groundlab、monocism
開場:18:00 開演:19:00
前売:2,000円 / 当日:2,500円(1drink別)
*出演順は1番目です。

7月21日(土)神戸・三宮VARIT
"VARIT 3rd Season Party vol.2 〜Earthling〜"
w/SIBERIAN NEWSPAPER、THE MOVIC、 寺前未来
開場:18:00 開演:18:30
前売:2,000円 / 当日:2,500円(1drink別) 

7月22日(日)京都・丸太町 CLUB METRO
"aka rui heya - ゆーきゃんw.h.b.f. release party"
w/カジヒデキ(acoustic set)、まつきあゆむ、ロボピッチャー、audio safari
BGM/小山内信介(SECOND ROYAL RECORD)、田中亮太(mogran' bar、CLUB SNOOZER)
MC/土龍
FOOD/SOLE CAFE
開場/開演:18:00(ライブは22:30終了 / 24:00終演)
前売:2,200円 / 当日:2,500円(1drink別)

8月10日(金)大阪・心斎橋knave
"シンガーソングライターの残暑〜夕涼み編〜"
w/ 長澤知之、大柴広己
開場:18:00 開演:19:00
前売:2,500円 / 当日:3,000円(1drink別)
★この日はスペシャルサポートメンバーとして、
キーボードに岩井ロングセラー氏(BAGDAD CAFE the trench town,A.S.P,BOWLING No.9)を迎えて演奏します。

8月16日(木)東京・渋谷O-nest
"NOISE McCARTNEY RECORDS LABEL NIGHT vol.5"
w/LUCKY LIPS、他
開場:18:30 開演:19:00
前売:2,500円 / 当日:3,000円(1drink別)
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2007年07月12日

tower

鈍色の朝を三人で走っていた
烏丸通にはまだ誰も居らず
毎日降り籠る雨を待つ街路樹の緑が今日も同じ予感に縁取られ
換えたばかりというタイヤが立てる青みがかった回転音がアスファルトに擦り付けられ
そのなかを始まりを知らないまま始めた三人が走っていた
夜通しの議論のあとで疲れ果てたあとに紡がれるのは
打ち壊すこともできない
諦めることもできない
六年を分かち合い 奪い合い それが何なのか分からないまま積み上げた奇跡の塔の話
塔から去って行くひとびとの話
塔が照らし出す景色の話
烏丸通りのいちばん向こうにある白い塔の話

たくさんのひとが一つの言葉で
たくさんのひとが幾パターンかの嘘で
たくさんのひとが似たような真実を取り巻いて
碁盤の目のなかに配置されているだけで

悪意と善意に満ちた誰かと誰かが
お互いに包囲し詰んでしまおうとして
そして結局は散り散りになってしまうだけで

そのときあまりに美しいメロディーが流れていただけで

その話はそれだけを示していたように思った
僕はそれだけで充分だと思った

交差点でひとりが車を降り
繰り返し交わされた冗談のような挨拶を残して
二人は踵を返した

白い塔は朝に姿を現し
今日も雨の中で街を見下ろすのだろう
日々の奇跡はあまりに美しいメロディーで きっと誰も聞き取れないほどに流れている
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2007年07月09日

7月8日

7月7日 心斎橋CLUB QUATRO
ゆーきゃん meets あらかじめ決められた恋人たちへ

set list:
1.太陽の雨
2.変わり
3.ローカルサーファー
4.ジェームスディーン・ソング
5.摩天楼

クアトロの照明は暑かった。
大きな舞台に慣れたい。ここへ、また近いうちに戻ってきたいと思った。

アロウズさん、どうもありがとう。
音源も無い、まったく初見のオープニングアクトにも拘らず、きちんと聴いてくれたお客さんにも感謝を。



明けて、今日はほんとうに久しぶりのオフだった(とはいってもボロフェスタ関係の資料やメールのやり取りをたくさん片付けた)。

出かけたいところや行きたいライブはたくさんあったのだけれど、それよりもまず身体を休めたかった。

家で映画を三本観る。
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの「アモーレス・ぺロス」が素晴らしくて、いままで観ていなかったことを少し悔しくさえ感じた。


映画には映画にしか描けない領域があり、
詩には詩にしか謳えない世界があり、
音楽は音楽にしか鳴らせないことばがある。
その限界と、使命を知ること。
違いを知り、共鳴し、ときに乗り移る自由さを持つこと。
表現のためにはいつだって勉強だ。ランボーでさえそう言っていたのだから。


さて、今週末からレコ発ツアーが始まる。ゆーきゃんwith his best friendsがこんなにも続けてライブをすることは珍しいし、初の名古屋、久しぶりの神戸など、普段とは違った場所で演奏するのも楽しみ。

"sang"で初めてゆーきゃんを知ったひとも、レコ発シリーズにはぜひ遊びにきてほしい。ライブでしか味わえない空気というものがある、それをみんなと一緒に浴びたい。
posted by youcan at 03:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月03日

クアトロ

今週末、急遽決まったライブ。

the ARROWSのワンマンライブ、"ロックンロールファンファーレツアー"のオープニングで出演する。

7月7日(土)大阪・心斎橋CLUB QUATRO
出演:the ARROWS
Opening Guest:ゆーきゃんmeetsあらかじめ決められた恋人たちへ
開場:17:00 開演:18:00
料金:前売3,000円 当日3,500円
※整理番号付・入場時に別途ドリンク代必要
○チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード258-510)
○ローソンチケット 0570-084-005(Lコード55231)
○eプラス http://eplus.jp

クアトロは2003年に「声が聞こえなくなるので空調を切って下さい」と言い放ったソロライブ以来。4年ぶりに、今度は爆音で帰って来た、というわけだ。
オープニングといっても、通常の演奏時間はもらっているので、早めのスタートではあるけれど、ぜひ遊びに来て欲しい。


ところで、いま、チケット予約フォームから予約ができなくなっている。
予約をしようとすると、サーバーのエラーが表示されてしまう。
チケットを予約してくださる方は、お手数をかけてしまって申し訳ないのだけど、トップページの右上、から「ライブ予約」という旨を書いて送ってください。



posted by youcan at 06:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月02日

週末

父の還暦祝いに、実家へ帰った。

バーゲン初日ということで不可解なほどに込み合う伊勢丹でプレゼントを買い、疲れて電車の中で眠りこけ、目が覚めると駅に着いていた。

家族は僕が突然、街の情報誌に載ったことに驚いていたようだった。

アー写が「前髪で顔が見えない」とか、「伴奏がいいと歌もよく聴こえる」とか、いかにも家族らしいコメントを貰う。

富山駅前のデパートの大きなスクリーンに流れたくるりのPVを見て、7つになる姪が岸田君を僕だと思っていたらしい。
(確かに遠目で見るとシルエットなどは良く似ているけれど)

その日は一日じゅう、姪と遊んでいた。

父には赤いポロシャツを贈った。

一晩泊まって、高岡にあるタワーレコードへ寄り、コメントなどを書かせてもらって、京都に戻った。

"sang"の店頭日以来、いや、リリースに向けて走り出して以来、いちばん穏やかな一日。




CDがお店に並んでいるのを見ると、戦慄に似たなにかがからだ中を走りぬけるんだ−そう加藤さんに言うと、
ロボピッチャーのCDが始めて出たとき(彼はちょうどいまの僕の年齢だった)感じたことを、話してくれた。

つまり、

世の中にあるのは「いい音楽」対「悪い音楽」という区別だけではない。
たとえばレコード会社のスタッフ、たとえばお店のインディーズ担当、たとえばCDを店まで運んでくるトラックの運転手、
そんなふうに、僕らの音楽が誰かの手に渡るまでの全ての過程に関わっている全ての人々(彼らの顔を、僕らは完全に思い浮かべることができる)に、
僕たちは報いなくてはならない―もちろん、リスナーを含めて。

当時、彼はそう思ったのだと。
そしてきっと僕が感じた戦慄も、それに近い感覚ではないか、と。


なるほど、と思った。
届ける義務。伝える義務。
この気持ちはそういったものの、重さなのだろうか。
前作に比べて、それは圧倒的に重い。誰からもプレッシャーをかけられているわけではない、にもかかわらず。
だからこそ、
店頭でスタッフさんが書いてくれたコメントを見て、発注書に載せた宣伝文句と違った言葉で書かれたディスクレビューを見て、こんなにも嬉しくなるのかもしれない。これを誰かに届けたいと思ってくれるひとが、自分のほかに確かにいるという喜び。

いずれにせよ、sangは世に出たばかり。これを届ける努力はまだまだ続くのだ。
がんばろう、ただ単純にがんばろう、と思った。

posted by youcan at 16:15| Comment(1) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする