2007年09月04日

室町

きみにとって朝が何なのか
きみにとって嘘が何なのか
誰もいない空き地が
隔離された鉄条網の向こうの空が何なのか
ひとが何なのか
大切なものが何なのか

季節の交差するその瞬間に
一切が零れ落ちる気がした

昔ここで人が傷つけ合い
昔ここで人が名誉を賭け
誰が為に鳴るのかも知らぬまま
鐘の音に合わせ無常の風を思い
この世の春を謳歌し
愛しては憎み

通り抜ける街並みのどこかには
一切がこびり付いている気がした

呉服屋 帯屋
着飾るその人に 蒔絵のような幸福を見せてごらんよ
秋空は昨日より少し高く
茜 山吹 浅葱
薄らいだ青の中にたくさんの色を隠しているように見える
なだらかな坂道のような日々
きみはゆっくりと熟れながら歩いて行くのだ
昔の人とおなじように愛したり憎んだりしながら
どこかへ向けて
ほら
行き交うざわめきのなかで夢幻の静けさを湛えた秋が
夏の名残の葉をゆっくりと まばたきのように落とすだろう


posted by youcan at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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