2008年08月27日

エラーが正しさだという逆説的な人間がいてもいいだろう

金曜日に観たMELT-BANANAが物凄くかっこよかったと言ったら、ジャックはMELT-BANANAはいつだってかっこいいよと気の無い返事をよこした。それくらいの話。

土曜日にはGOODMANでbossston cruizing maniaを観ながら、上手く言えないけどこの人達を好きだと思った。

日曜日にはPARA。理知的で感覚的で、なんとスリリングな構築なのだろう。

月曜日には勝井祐二+marron+山本達。即興があんなにも美しいものだということを、いままで知らなかった。


日々を塗りつぶすように生きるのだ。
できるだけ丁寧に。

今日はマーズとのリハ。試行錯誤しよう。


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2008年08月22日

つまらない覚書

普段、ステージの上から見える景色を、
僕は覚えない。
何かが見えていて。
でも、何が見えているのか忘れてしまう。
ステージの照明が強すぎるからか。ステージが高すぎるからか。


けれど、leteで歌うときは、案外といろんなものを目に焼付けていて、明かりがまぶしかったとか、扉の向こうに一瞬明滅したパトカーのひかりとか、一番手前の彼女が飲んでたのが一杯目は何かのカクテルで次はビールだったなとか、壁際の彼はいつか目を閉じて聴いてくれていたな、どんな景色が浮かんだのだろうなとか、
帰り道で、そんなことを思ったりする。


前回の日記に載せたことば、
随分前にどこかで言ったことだけど、訂正したい。

東京のひとが、飽きやすいわけじゃなかった。
飽きられるとすれば、歌う側の魅力がなくなったときだ。
溢れる表現のなかで、飛び交う情報のなかでー
私の奏でる音楽が他の誰かや何かと交換しても同じだと暴かれてしまうときに飽きられてしまうのだろう。
忘れられてしまうのだろう。

おそらく東京が、それを目の当たりにする機会を多く持っているだけ。京都であろうと富山であろうと本質は変わらないのだと思う。


表現の世界はいつだって残酷で、つまらないものはつまらない。
でも忘れてはいけないのは、表現そのものは選挙運動ではないということ、声高なものが勝つ弱肉強食のルールは、表現そのものに直接関わりをもたないということだ。


渋谷のRISE Xで"ビューティフル・ルーザーズ"を観た。
「ルーザーズ」とは言え、彼らは社会的に認知されることに成功した芸術家だった。商業的な成功も付随し、心置きなく創作に没頭できる彼らは、もうルーザーではないのかもしれなかった。
ひとつ決定的なことがあるとすれば、はじめから勝負を降りていること。勝つか負けるかというテーブルに着こうとしなかったという意味で、彼らは既に、ずっとルーザーだったのだと思う。


もう一回書く。表現は、選挙運動じゃない。
自分の中の金鉱を掘り当ててゆく、残酷な、それでいて圧倒的に幸福な作業だ。

自分にそれが許されていることに、心から感謝する。
場所が与えられ、時間が与えられ、メロディやことばが与えられ、それを曝け出す機会に観に来てくれるひとがいることを、とてもありがたく、幸運に、思う。
posted by youcan at 09:26| Comment(1) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月19日

ライブの予定など

明日はlete。ワンマンというにはあまりに小さい場所で。
おそらくまだ座席は余っていると思うので、ぜひ遊びに来て下さい。小さな部屋で聴くゆーきゃんが一番よいという人は、結構いるのです。



「東京のお客さんは、飽きやすい気がする。情報量も多いし、音楽も出来事も、色んなものがあふれているので、忘れてしまうんだと思う。だからバンドも忘れられないように、リリースをしたり、ニュースを作ろうとしたり、必死になるんだと思う」

いつか何かのインタビューでこんな風に答えた。

いま僕にはリリースの予定もまだないし、この街でとくに目立ったことをしているわけでもない。
僕は忘れられるだろうか。飽きられるだろうか。

そのことを受け入れようとも思い、
そうならないよう努力しようとも思う。
そして忘れずに、飽きずに、ゆーきゃんのうたを必要としてくれるひとがいる事実に感謝しつつ、いまはまだ水の中を泳ぐように、ありたい。



23日には2本、イベントのハシゴをする。誘われる日はいつも重なる。この日はどちらの主催のかたからも、途中まで途中からの参加でよいからぜひ歌いに来て、と言っていただいた。とてもありがたい話。


30日(ホームページでは31日となっていたが、間違い。正しくは30日、土曜日です)は円盤。吉田さんも山本達久くんも、サンレインの先輩というより前に、尊敬する素晴らしいミュージシャン。東京に出てきたのだなあ、とすこし感慨深い。
ちなみにこの日は、円盤にピアノがあるのを思い出したので急遽、健太郎と一緒にやることにした。


八月も後半。夏がだんだんと枯れてゆき、秋がそっと忍び寄ってくるのにある日突然気付く。それが淋しくもどこか心地よい。
いろんなことに、耳をすましていなければ。



・2008年8月20日(水) 下北沢lete(http://www.h7.dion.ne.jp/~lete/
出演:ゆーきゃん
開場19:30 /開演20:30
前売\2,000/当日2,300円 [要別途1Drink代\]
*限定20名、ご予約はleteのホームページからE-mailでお願いします。当日券のお問い合わせなどもlete 03-3795-0275 までお電話下さい。


・2008年8月23日(土)つくば市豊里ゆかりの森野外ステージ
"HOLIDAY RECORD〜つくば音の森08〜"
出演 :

イノトモ
今野英明バンド
ゆーきゃん with 坂本健太郎 (piano)
music from the mars
THE JAPONICANS
siamesecats

保坂壮彦(soultoday,rijf08)
星原喜一郎(soultoday,Alright)
George Aizawa(infinight Design)
HOLIDAY RECORD DJs and more...

風いろ食堂
kitchen soya
Bar TRY
and more...
開場11:00/開演12:00
(ゆーきゃんの出番は3番目、14:40からの予定です)
前売\2,000/当日2,500円
*ご予約はotomori@hotmail.co.jpまでお願いします。
1.チケット御予約者氏名
2.チケット枚数
3.メールアドレス
以上3点を明記の上、メール送信してください。なお予約数が一定数を超えた場合(会場の収容人数上)、予約を終了する場合がありますのでご了承ください。 また、中学生以下は入場無料です。


・2008年8月23日(土)秋葉原CLUB GOODMAN(http://www.clubgoodman.com/
"ALL JAPAN UNDERGROUND FESS!!! vol.2"
出演:
OUT AT BERO(京都)
tacobonds
bahAMaba
Qomorangma Tomato
bossston cruizing mania
ゆーきゃん
OPENING:asuna(from:HELLL)
DJ:吉田肇(from:PANICSMILE)
開場17:30/開演18:00
(ゆーきゃんの出番は20:05からの予定です)
前売¥1,500/当日¥1,800 [要別途1Drink代\500]


・2008年8月30日(土)高円寺 円盤(http://www.enban.org/
出演:
佐々木匡士(g,vo from山口)+村岡充(g テストパターンfrom岡山)+村井英晃(b)+猿股茸美都子(from大阪)+山本達久(ds)
吉田肇(PANIC SMILE)
ゆーきゃん with 坂本健太郎(piano)
開場18:30/開演19:00
(ゆーきゃんの出番は1番目です)
前売¥1,500/当日¥2,000 [要別途1Drink代\500]

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2008年08月18日

テレビ塔

あのテレビ塔から探し出したなら
感情七号を逆流する僕らの影は
まじりっけなしの不条理のように見えるだろうか
いつか一街道に翻弄される僕らの鼓動は
リージョンフリー ばね仕掛けの壊れたフュージョンとコンフュージョン あるいは浄瑠璃のように聴こえるだろうか
民主主義の宮殿も残酷な平和の号砲も ついには英雄に俳優に最新の祭壇に向けた数十万人の熱狂さえもが店頭 待合室 車内 路傍 どれほど街中に溢れても
きみの通り過ぎたあと 単純な故郷だけはもう手に入らない
街灯の果ての夜空に目を凝らし
そのどこか あるいは裏側に隠れたかげろうの廃屋 見渡す限りのとうもろこし畑 幻じみた強い陽射しの玄関先を夢に見ても
夏の嵐のあとであまりにあっけなく失われた景色たちは二度と立ち現れない
それはなんという孤独
それはなんという娯楽
そのおおきな空白のなかで 僕らはただ独楽のように回り
ぶつかり合っては惹きつけあって
別れ際には涙し
再び出会ってはくしゃくしゃに笑い
雨あがりの闇の内側で
夏の終わりを彩るひかりを 空に向かって投げて
最後の電車を乗り過ごしそうになり きりきりくるくると予定調和に舞い
居並ぶ見たことも無い顔 人ごみをごみではなくひとなのだとはっきりと知り
富にも地位にも名声にも自己実現にもその他一切の栄光にも換えがたいひとつの祈りを
あのテレビ塔から探し出して 呼ぶことができたなら
どんな風に感じるのだろうか
そのとき
どんな風を呼吸しているのだろうか
そのとき
きみの視線にはいったいどんな波が宿っているのだろうか

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2008年08月08日

ツアーから帰ってきて、もう金曜で、まだ金曜で、気がついてびっくりする。

毎日いろんなことがありすぎて、一体何をやってるんだろうと思ったり。



取り急ぎ−

ツアーはとても楽しかった。
k.d.japon、BACKBEAT、SOLE CAFE、西院フェスのみんな、DICEとトレーニングボイジャー、そしてVOXHALL、本当にありがとう。

名古屋で一緒だったClimb the Mindの山内さんとgura、神戸で初めて観た杉瀬陽子さん、久しぶりの澤田ナオヤくん、春日神社でのギターパンダ、タテさん、VOXHALLでの井上ヤスオバーガー、

とにかく、ウタゴコロにたくさん会った。


帰り道の電車で、思ったことは−

生きるということの中から滲み出し、生きるということの周辺をなぞりながら生まれてくる歌こそを、
僕は信じる。

「ポップ」というものがプラスチックな機能性や洗練のなかから立ち現れ、誰かの共感や支持を拠り所に成立するものであるなら、

その対極にあるもの−生活とともに生まれ、泥臭さやみっともなさやいびつさや不可解さを孕みつつ、あなたと私との間に確実に存在しつづけるもの−それを仮に「フォーク」と呼ぶなら、

僕はずっとフォークソングを歌っていたのであって、
フォークソングを歌いたかったのであって、
これからもずっと、
フォークソングを歌っていたい。


8月3日、暑い暑い真昼の春日神社、
あの能舞台で歌ったその景色のことは、
きっとしばらく忘れられない。

誰のために何のために歌うのかは相変わらず解らないにしても、
すくなくとも、僕が何を歌っているのかは、解った気がした。
(それをうまくことばにできないのがもどかしい)


大丈夫。もうしばらくは大丈夫。
それで十分だろう。




一昨日、SUPER DELUXUEにBABY Qを観に行った。
恐れることなどないのだと、知った。
いちばん怖いものは自分の中に居るのだ。
身体。身体。理性。崩壊する理性。性。業。

到達不能な世界や他者さえも、わたしは自分の中から測らなければならないのだとして、
それを引き受けた時点から、ほんとうのわたしが始まる。

アナロジカルに生きること。

呼吸をする。内臓で、皮膚で、世界と接する。
それで良いのだと思った。それだけを信じていれば良いのだと思った。そうやって生きて行こうと思った。



夏らしい日が続く。
東京では異常気象みたいな大雨が降ったり、光化学スモッグが出たりするけれど、やっぱり僕は夏が好きだ。
posted by youcan at 23:10| Comment(1) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする