2009年12月31日

無題

ことし最後の一週間。ライブをして、仕事をして、引っ越しをして、バスに乗って、電車に乗って、くだらない話、大事な話、そしてライブ。どれも100点の演奏とは言えなかったし、サウンドチェックのときとモニターが全然違ったり、びっくりするような野次が飛んで来たり、本番前に緊急の電話が何本も掛かってきたりと、いま思うと「これで締めくくりだなんて言わせないぞ」と誰かに言われているような7日間だった。

振り返るに値しない一年もある。おまえは何をしてきたのだと風が問いかけるような、くだらない季節もある。2009年はとにかくたくさんの出来事があり、振り返るだけでもう一年くらいかかってしまいそうだ。花は咲いていない。実もなってはいない(店はなくなった)。けれど、僕はあちこちで目にしたように思う―寒空に沈黙しながらも静かに、ある方向に向かっていっさんに伸びてゆく枝、夏あんなにも繁った葉を落としたその後で、春の予感を空気の中に探しながら新芽をどこかに隠した葉柄、そしてひたむきに年輪を重ねる幹。人間、場面、作品、今年出会った景色はどれもそんなふうだった、そして僕が求めていたのはまさにその景色だったのだ。

来年がどうなるか、未来がどうなるか、まだ何ひとつ分からない。裏切られた約束、満たされない期待、こんなはずじゃなかったことは山のように現れるだろう。恨みや妬み、焦りや衝動に取り込まれないために、こころを強く持ち続けなくてはならない。誰かに与えられる、大きな神話の嘘を見抜くこと。自分自身の、僕ときみの、僕と太陽の、ものがたりを紡ぎ続けること。根を張り、ひかりを空気に換え、呼吸を歌に変え、ただそこに居ること。右肩上がりの成長ではなくて、死に向かってなお静かに成熟するように、豊かに日々を送ってゆきたいと思っている。

2010年もどうぞよろしくおねがいします。



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2009年12月22日

ライブのこと

東京を離れることを決めてから僕のところに来た年内のライブオファーは、全部受けた。たとえ安売りと言われようと、構うまいと思った。おそらくこれからも頻繁に東京へは出てくるとして、それでもこれまでのように気軽に、ただ呼んでくれた人の気持ちだけを糧にして電車に飛び乗る(サンレインの店番を終えてから、ライブ会場に向かうこともたくさんあった)のは、さすがに難しくなる。いただいたお誘いが、一度出てみたいと思っていた池袋の鈴ん小屋、八丁堀の七針だったというのも大きかった。東京BOREDOMの還元ライブがクリスマスにあり、年内の都内最後の(加えて東京在住最後の)ステージは大好きな月観ルで。まだなにも終わっていないし、日々あたらしい扉は開かれ続けている、そのことを確かめるような−願わくは誰かと確かめ合えるような夜たちでありますように。そして忘年会嫌いの僕が、にもかかわらず飲み過ぎて宿酔になったりしませんように。とくに土曜朝の粗大ゴミの回収を忘れては本当に大変なことになる。
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2009年12月21日

無題

引っ越しの続き、後処理を早めに切り上げてメトロへ。FLUID主催の「僕の京都を壊して」を観に行った。今回は地元のバンドのみで15組が出演という挑戦的な内容で、僕が着いたときはH.M.V.の演奏中。その後FLUID、bed、dOPPO、RATVILLE、LIQUID SCREEN、out at bero、そして colaboyのDJと続いて、結局23時を回っての終演に。久しぶりに聴いたどのアクトも素晴らしく、加えてJACKが確実に自分の"次"を見据えているのが伝わってきて、この場所に居合わせられたことが嬉しくなった(このイベントのことは勿論知っていたけれど、日程は未チェックで、昨日引っ越しを手伝ってくれた呉羽が教えてくれた)。

思えば、2年という歳月は確かに短いけれど、時の流れが様々な状況を押し流すには充分な時間でもある。自分自身に関しても、突きつけられた事実を咀嚼し呑み込めるようになるまで、無意味だと思った出来事にひとつの価値を持たせられるようになるまで、ふとあのときのあの気持ちの理由や意味が分かり始めるまで、ちょうどこのくらいの期間が必要なのかもしれない。時が流れたその後で、もういちど邂逅するものとの、新しくもうんざりするほど懐かしい関係。わたしがこの2年で出会い近づいていったものとの、まだ脆いながらある確信で繋がる愛おしい関係。しがらみ、絡まり、各種の小社会があちこちの居酒屋で今年の憂さを晴らし絆を確かめ合う年の瀬は東京も京都もさほど変わらず、電車のなかで酔い騒ぐ一群の学生たちを横目に、しばらくのあいだ感慨にふけった僕は、またあやうく終電を乗り過ごしそうになってしまったのだった。
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2009年12月20日

無題

サンレインの引っ越し、それに便乗して自分の荷物もすこし、京都へ運ぶ。ここ数日で破れたり伸びたりした服、書き損じたノート、インクの切れたペン、何についてなのかもう分からなくなってしまった説明書、乾電池、切れた弦、あちこちから貰ったり預かったりしながら気がつけば膨大な量になっていた食器など、とにかくずいぶんとものを処分した。CDはケースを捨てて中身のみをスリーブジャケットに入れ替え、本は実家で保管をお願いし、家電は根こそぎルームメイト(先にもう引っ越した)にあげた。残りはめちゃくちゃに重いレコード棚とレコードを田代くんの家で預かってもらい、使い古したベッドや布団、引き出しなどを粗大ゴミ、段ボールを古紙回収に出せば終わり。公共料金の精算と移転申し込みも忘れないようにしなくてはならない。大家さんに鍵を返し、お土産を渡し、寝袋とギターを持って夜行バスに乗って、東京から出てゆくだけ。ひとがどこかからどこかへ移動すること、それはどうしようもなく物理的な問題だと思い知る。くらし、とは、もの。ものは、ひとのあしあと。ひとたび逃げ出した街へもういちど帰る以上、せめて足だけはきれいに拭いておきたい。
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2009年12月17日

無題

12/15 下北沢lete

SET LIST:

1.空に沈む
2.天使のオード
3.明けない夜
4.風
5.Y.S.S.O.
6.太陽(未完成)
7.地図の上の春
8.ファンファーレ#0
9.ばらの花(w/森ゆに)
10.東京の空

11.サイダー
12.sea of love

来てくださったお客さん、共演の森ゆにさん、leteのしんたろうさん、どうもありがとう。素敵な夜でした。


終演後は高円寺に戻り、サンレインの撤収。必死に店から仮倉庫へ在庫を移し変える。カウンターと什器と廃棄の備品だけを残して部屋を出てゆくその最後に押した消灯のスイッチの手触り、音、そしてあの暗闇。

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2009年12月14日

無題

サンレインレコーズが閉店した。
最後の3日間はいろんなお客さんが来てくれて、
ここで得たたくさんの出会いをあらためて実感した。

僕は、これを機に京都へ戻る。
年内に引っ越そうと思っている。

東京で得たもの、知ったことは多い。
ここでは書ききれないけれど、
このあまりに短い二年間には心から感謝している。

あしたのleteは、ひとつ始まりだと思うことにした。
丁寧に、楽しんで、歌いたい。

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2009年12月10日

無題

みやこ音楽祭については、友人に長い長いメールを書いた後で、もうあまりことばが残っていない。ただ、今年あの場所で感じた「何かが始まっている」という予感は、こんどこそ潰えることなく、関わるすべての人間の手によって守られなくてはならないのだと、強く思っている。

翌日のベアーズ。埋火は素晴らしかった。アウトドアホームレスは最高だった。ひさしぶりにフルメンバーで演奏したシグナレスも気持ちよかった。お客さんに混じってフロアにいる面々も豪華な顔ぶれで、そのことに一番驚いたかもしれない。ともあれ良い夜でした。

昨日は出来たばかりのTHREEを覗きに下北へ。正確には純然たるクラブだったWEDGEを改装してできたライブハウスだ。ラウンジや擦りガラスにWEDGEの感じが残っていて、なんだか嬉しかった。小さいけれど良い空気、面白い場所になりそう。ほっしー、頑張ってください。期待しております。




以下、覚書(忘れないために、メモ等はすぐになくしてしまうので、人目に付く場所に曝しているだけです。本人もまだよく分からないまま書き留めているので、あまり気にしないで下さい)

うたが、この世界だけでなくて、単純な表と裏という区別でもなくて、虚数にも似た、あるのかないのか分からないけれど絶対にあるはずのフィールドにまで突き抜けてゆくためには、どうしたらよいのだろうか。たとえば人間の悲しみを増幅するための道具として使われる、あの告別式のBGMのようなあり方ではなく、ただ純粋にどこか別の場所へ、もしかするとあの人のもとにまで辿り着けるようなうたは可能だろうか。亡くなった友人の声をわたしは心の中で聴くことができる、それと同じようにわたしがいま、もうここにいない人へ向けて-そして届くように-うたうことは可能だろうか。あるいは哀悼というのはひたすらに、生き残ってしまった者が生き残ってゆくための句読点なのだと割り切ってしまうしかないのだろうか。わたしは、あなたのために何を歌えばよいのか。あなたのために歌うことは、はたして本当か。あなたは戻らない。が、戻らないのはわたしもまた同じなのだ。明日は此処が此処で無くなる。いつか此処と其処に差はなく、それでいて何時までも大きく隔てられている。この見えない断絶を渡るための歌があるならば、わたしはそれを探し続けなくてはならない。

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2009年12月04日

無題

初台にて、道男と練習。
西村道男×ゆーきゃんは、とにかく二人とも初めての試みなので、どうなるか全く予想がつかない。道男はDJをして僕は歌う―それだけのことなのだけど、だからこそこのときのフロアの空気が、いのちだ。楽しもう。楽しんで楽しんで、喜びが糸のようにマイクとフロアを結びつけるあの瞬間まで、駆け上がりたい。


それはそうと、家電製品は発売後2年以内のものでないと有料処分となってしまうというのが相場だと聞いた。たった2年で家電を買い換えるほうがよっぽど勿体無いと思うのだが・・・ともかく、引越し準備も一旦中断。明日、あさって、月曜日はただ良いライブをしたい。サンレインの在庫たちに埋もれて移動する車中、眠れるかな・・・
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2009年12月03日

無題

あっというまに12月になった。書いてもかかなくても毎日は過ぎてゆくのだ。恐ろしい。

k.d.japonは相変わらず素晴らしい会場。もしかすると日本一好きなステージかもしれない。
何年かぶりに聴いた松坂さんは、相変わらず歌も曲も見事だった。初見のエスパシオもよかった。即興性の強いasanaのパフォーマンスは、いつも遠い記憶を呼び起こしてくれる。僕はどうだったのだろう。夢中だったのであまり覚えていないのだけど。

東京に戻ってから、やっと引越しの準備に取り掛かる。が、その間にもサンレインの撤収の段取りやみやこ音楽祭への出店準備、道男とのミーティングなど、いろんなマストが交錯して、結局いまも部屋は雪崩れの痕のようにCDで覆い尽くされている。間に合うかどうか、不安になってきたが、やるしかない。

明後日はみやこ音楽祭。なるべく手伝いにいけたらと思っていたが、結局出発は明日の夜になりそう。いまごろは設営真っ最中だろうか。どうぞ成功しますように。

posted by youcan at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする