
2010年〜11年にかけて、ポータブル・レコーダーで録りためたライブテイクのなかからセレクトした9曲。
ドアの閉まる音。アイスピックで氷を割る音。ハーシュノイズ。じぶんの放ったものではない音が歌やギターと混ざり合って生まれる、あのざわっとした瞬間が気に入っています。また、歌がそんなに上手ではないので、ときどきアウトしているメロディや、感情のもつれた声、コードチェンジの失敗なども、あとで聴き返してみるとかえって味になっているときがあって(そんなふうに思ってしまうから一向に上達しないのかもしれませんが…)、そういう、いわば「偶然の音楽」たちが不思議に作用したテイクを集めました。
ただ、さすがに録りっ放しの音は小さく、ちょっとだけ冷たすぎる感じがしたので、さすがにこのまま出すのはためらわれました。ともすれば荒涼となりがちだった殺風景な音を、ふくよかに、温かみにある感触にしたくて(これらのライブのなかでは、ぼくの気持ちはけしてとげとげしいものではなくて、むしろ純粋な喜びに近いものだったように思います)マスタリングをWATER WATER CAMELの田辺玄さんに依頼しました。とくに何も注文しなかったのですが、玄さんは、なぜこのブートレッグみたいな音源を自分にマスタリングしてほしいと言ってよこしたのか、見事すぎるほどに分かってくれたと思います。
ジャケットは、ホームページの管理人もやってくださっている、姫路在住の画家、長谷川信也さんです。瀬戸内の陽だまりをそのまま絵の具に落としこんだような彼の画風が、きっとこの音にすごく合うだろうという気がしたから(ちなみに、長谷川さんにはまだマスタリング後の音を聴いていただいていません。はやく送らくちゃ)なのですが、ご自身の作品の中から提供してくださったこの絵も、一目見て大好きになりました。
タイトル「TO THE SEA」は、曲中(カバーですが)の歌詞から拝借したものです。海のない街に住んでいるうたうたいが、作品にこの題をつけるというのもおかしな気がしますが、このところずっと海のことを考えていたので、良しとさせてください。
いまのところ、ライブ会場のほかに、いつもお世話になっているJET SET(通販、京都店頭)、そしてぼくのやっているSUNRAIN RECORDS(通販のみ)で手に入ります。
■JETSET
http://www.jetsetrecords.net/jp/%E3%82%86%E3%83%BC%E3%81%8D%E3%82%83%E3%82%93-TO-THE-SEA/product/812004122942
■SUNRAIN RECORDS
http://www.sunrain-records.com/catalog-3304.html
取扱っていただけるお店、募集中です。増えたらまたお知らせしますね。