2011年10月31日

ボロフェスタ2011

■2011年10月22日(土)京都 KBSホール
「ボロフェスタ」
シグナレス

1.Y.S.S.O.
2.パレード(new version)
3.太陽の雨
4.朝顔
5.ローカルサーファー


■2011年10月23日(日)京都 KBSホール 地下ステージ
「ボロフェスタ」
ゆーきゃん

1.天使のオード
2.エンディングテーマ
3.明けない夜
4.マリー
5.太陽(仮)


 出演時以外はほとんど建物の外に居て、いろんなちょっとした出来事の対応に追われていました。肉体的な疲労もあり、進行が気がかりすぎることもあり、最後のステージ前にはもう歌えないんじゃないかとすら思ったのですが、声が枯れてしまう前に出番が来てよかったです。



 十年目にして初めて、加藤さんが居らず、飯田くんが代表になったボロフェスタでした。KBSホールに移ってからは間違いなく最大級、西部講堂時代から眺めてみても一・二を争う規模での開催でしたので、準備の段取りや資料の取りまとめなど、考えなくてはならないことも例年の数割増しで湧いてきたように思えます。毎年毎年ボロボロなるのが当たり前のボロフェス、とはいえ、今年の擦り切れ方はさすがに最後まで乗り切れるか不安になるほどのものでした(これは飯田・土龍両氏ともに相当なものだったようです。彼らのブログにも同じようなことが書かれていましたね)。

 もちろん現場での準備作業も山のようにあり、当日の運営もめちゃくちゃに大変だったのですが、スタッフみんなの力で無事イベントを終えることができました。みんな、ほんとにありがとう。とくに各部署のリーダーの奮闘には心から敬意を表したいと思います。また駆けつけてくれたOBたちの手なれた動きも助けになりました。
 入学したての大学生から休日返上のサラリーマンまで、それぞれの部署でそれぞれの仕事をするスタッフたち。思い思いに出入りを繰り返し、飲んだり食べたり座りこんだりのお客さんたち。楽屋で、食堂で、出演後のフロアでのびのびと振る舞う出演者たち。会場に居るいろんなひとの顔を見ながら(もちろんゆっくり眺めている暇なんてなかったのですが)、ぼくは、あの、06年の最終日、大混乱のボロフェスタのなかで味わった感覚をもう一度思い出すことができました。

 それは、今年のボロフェスタが、もうぼくの(そしてたぶん飯田くんや土龍くんの)ボロフェスタじゃない、という、あの奇妙な実感です。

 もちろん、今年は舞台チームの頑張りもあり、タイムテーブルが滅茶苦茶になってしまうこともありませんでしたし、あの年に比べるとどこで何が起きているのかを知ることは容易だったのですが、とにかくも「ボロフェスタ」というイベントが、主催者の手を離れてどこかに浮きあがっていった―たとえば、ダイブした人が皆の手に運ばれてフロアを流れてゆく、あの景色にも近い―ように思えたのは、誰が何と言おうと(たとえぼくがあまりに疲れていて、ちゃんとした判断力を失くしてしまっていたからだったとしても)これがだだの「巨大な音楽イベント」ではなく、一個の「祝祭」になったからに違いありません。


 去年の三月ごろ、古株のスタッフである呉羽くんとぼくがnanoの二階のバーで飲みながら話したのは、まず「有無を言わさず音楽こそがいちばん偉い」場所をつくろう、ということでした。お金を払う側ともらう側、お客さんとスタッフ、出演者と主催者、それら区別を越えて、すべての上、会場の空気全部の中で圧倒的に音楽が鳴っているような場所。それが、ぼくらがボロフェスタを続けてきた一つの理由であり、答えであるに違いない、と。
 この目標は、去年のボロフェスタでは(イベント自体はそれなりに成功したとはいえ)、まだやはり遠かったように思えます。今年、それが叶ったかどうかはまだ分かりませんが、すくなくともある瞬間、ある時間においてはぼくはそれを見た気がしました。その原動力のひとつが「十周年」という旗印だっとして、つまりボロフェスタは、十周年にしてやっとぼくにその答えを、ぽつり、語り始めてくれたということになります。


 ZAZEN BOYSの最後のアンコール、メンバーさんのご厚意でステージに上げていただいたとき、フロアに溢れるあなたたちの笑顔をみて、ぼくは無性にうれしい気持ちになったのです。それは主催者としての「たくさん来てくれてありがとう!」という感謝とも、「無事にゴールへ辿りつけた!」という安堵ともちょっと違い、言うならば「誇り」にいちばん近いものでした。ぼくらが植えたボロフェスタの苗が、まるで大きな木になって、皆がその下に集まり、遊んで、笑っている。誇りに思うのは自分たちでもなく、イベントでもなく、そこに流れる空気と、音楽と、笑顔そのものに対してです。この気持ちを伝えるのには、おそらく「ありがとう」以外の(以上の?)ことばを以てしなくてはならないのでしょうが、あいにく語彙が貧弱で、うまい言い回しが思い浮かびません。だから、みなさん、来年また会いましょうね。


 これは余談です―あの最後の「東京節」で、ぼくはここ数年来出したことのないくらい大きな声で歌いましたが、それは気分が高揚していたからというよりも、どちらかというとZAZEN BOYSがステージ上で奏でる音量の大きさにつられたのです。だって、めちゃめちゃ音でっかかったから…あそこで「ゆーきゃん、やっぱり声、聴こえないよ!」ってなったら、出オチもいいとこじゃないですか。



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2011年10月17日

記録

■2011年10月14日(金)京都 nano
「フレデリック vol.1」
ゆーきゃん

1.空に沈む
2.smalltown.smalldawn
3.天使のオード
4.明けない夜
5.サイダー
6.好きにならずにいられない

■2011年10月15日(土)大阪 心斎橋 club jungle
「MINAMI WHEEL 2011」
ゆーきゃん×岩橋真平×岡村寛子

■2011年11月16日(日)神戸 三宮 太陽と虎
ゆーきゃん×岩橋真平×岡村寛子

1.背中
2.天使のオード
3.空に沈む(piano ver.)
4.サイダー
5.エンディングテーマ


 阪急電車が好きだ。車輛をあずき色にしようと思った人に、メダルをあげたい。
 今週はボロフェスタです。チケットが残りわずからしいので、ぜひお早めにお買い求めください。
posted by youcan at 07:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月13日

今週末

 明日から、リリースツアーが始まります。色々あるので、詳細はホームページを観ていただきたいのですが、まずは今週末のものを。

 
■2011年10月14日(金)京都 nano
「フレデリックvol.1 シャムキャッツとターンテーブルフィルムズ」

[LIVE]
シャムキャッツ
Turntable Films
うつくしきひかり
ゆーきゃん and more

[DJ]
HANDSOMEBOY TECHNIQUE
田中亮太 and more

開場 / 開演 18:00
前売 \1,700(ドリンク代別途) / 当日 \2,000(ドリンク代別途)

料金、ホームページのは誤りでした。訂正してお詫びします。

 何気なく始まっているこのイベントは、いま京都でいちばん音楽の趣味があうであろう友人で、DJの田中亮太(CLUB SNOOZER/mogran'bar)くんとnano店長・土龍さんとの共同企画です。
 今回は、シャムキャッツとターンテーブルフィルムズを一緒に、という亮太くんのアイディアから始まっているのですが、一方ぼくは「うつくしきひかり」という二人組が大好きで、亮太君と誰を呼びたいか相談しているときに、ほぼ迷うことなく名前を挙げました。スティールパンとピアノと歌。すばらしいです。




■2011年10月15日(土)心斎橋 club★jungle
「MINAMI WHEEL 2011」

開場 13:30 / 開演 14:00

 言わずと知れた大イベントなので、お話しは省きます。いろんなたくさん出るので、ライブをするのも観るのも楽しもうと思います。ちなみに、ベースに岩橋真平(スーパーノア)、キーボードに岡村寛子(ときめき☆ジャンボジャンボ)の二人に参加してもらって、三人で演奏します。

料金、詳細等はこちらまで。
MINAMI WHEEL オフィシャルホームページ
http://minamiwheel.jp/



■2011年10月16日(日)神戸太陽と虎
「BATTLES TOUR 2011〜AUTUMN STORMY KIDS〜」

出演
THE BLONDIE PLASTIC WAGON
The coridras
シリカ
ゆーきゃん

時間
開場 17:30 / 開演 18:00

料金
前売 \2,000(ドリンク代別途) / 当日 \2,500(ドリンク代別途)
チケットぴあ(P 148-722) / ローソンチケット(L 55165) / e+ / 太陽と虎店頭販売(太陽と虎 078-231-5540)

 THE BLONDIE PLASTIC WAGON のツアーに呼んでいただきました。篠原君は3年ほど前に神楽坂のライブハウスで会ったっきりでしたが「関西に来るから、一緒にやろうよ」と電話をくれたのが、とても嬉しかったです。
 この日も前日と同じ3人のセットで参加します。久しぶりの神戸の街も楽しみ。前回は…MY DISCOと中華街ではしゃいだなあ。今回はどうしよう。いや、もちろん演奏もがんばりますよ。



 ちなみに、ぼくの出番は、明日19時、土曜は19時15分、日曜は18時です。間に合いそうならばみなさんぜひ。
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2011年10月12日

 きょうは『ロータリー・ソングズ』の発売日でした。

 今作のリリースにあたっては「七年ぶりのソロアルバム」といううたい文句をレーベルも流通も各媒体も使っていますが、その「七」という数字をタワーレコードで目にして、われながら驚きました。
 
 なにしろ、そんなにも長い間、うたい続けるとは思いもよらなかったのです。ファースト『ひかり』を出すまでにもずいぶんと時間がかかりましたから、足かけ十五年?ほどは「うた」と格闘し続けてきたんじゃないかと思います。いや、初めて詩を書いて、曲にして、録音までしてみたのが十四歳のときですから、そこから数えると、もっとか。

 そのあいだに、「うた」をロストしたことは、何度でもあります。あたまのなかで音楽が鳴らなくなったことも、あらゆる音符に無関心になってしまったことも、重力が地上のすべてのものを縛り付けるように、思うように自分の声が出せなくなったことも、あります(ちっとも自慢することではありませんが)。

 きっと、ぼくは「シンガー」ではありません―シンガーソングライター、という肩書を使っているくせに。生まれついて歌に選ばれて、祝福されてきたわけでは決してないのです(そればかりか、誤解を恐れずに書くと、ある時期、たしかに歌は呪いそのものでさえあったかもしれません)。にもかかわらず、「うた」がぼくのライフワークであり続けてきたことは、ひとつにはそれ自体の大きな魔力と引力でもあり、もうひとつにはぼくが「うた」に押し潰されたり跳ね飛ばされたりしないように支えてくれたた、たくさんの仲間たち―お客さんも含めて―のおかげだと思っています(名前を挙げ出すとキリがないので、ここでは割愛させてください)。

 このアルバムは、あちこちですでにお話ししていますが、大田区下丸子にあった高橋健太郎さんのご実家が取り壊される、その一週間ほど前に、録音されました。きっかけはこのブログと、健太郎さんのmixi日記だったと思います(まだmixiが全盛だったころに始まった録音ということにも、なんだか時の流れを感じる…)。

 あくまでひとつの記録、記念、記憶として録りはじめ、ぼくが京都に戻ったあとにはほとんどお蔵入りにすらなっていたものが、あの真冬のWHOOPEESで、FRAGMENTのおふたりに会ったことをきっかけにして掘り起こされ、エマーソンさんや田代君、見汐さん、そしてメロウ君の力を借りて、とうとう世に出ることになりました。それはとても幸運なことでしたが、ぼくにとってというよりも、歌にとってというべきでしょう。発し手さえもが、誰にも聴かれなくてもよいと思っていた声―それが、質素ながらも素晴らしい衣装を着せられて、窓の向こうに飛んで行けるのです。感謝のことばは、なにより皆に直接、個別に伝えなくてはなりませんが、まずはこの場を借りてお礼を言わせていただきます。ありがとうございました。

 この作品が、どんなひとに、どれだけの人に聴かれ、愛され、また見過ごされ、飽きられてしまうのか―それを思うと、楽しみでもあり、恐ろしくもあります。さっき母から電話がかかってきて、彼女は「あいかわらず歌詞がよくわからんねえ」とひとこと。国語の先生だった女性に歌詞のダメだしをもらうのですから、先が知れてるような気もしますが。

 ただ、ここを読んでくださっている奇特な方が、もしどこかで『ロータリー・ソングズ』を手にするようなことがあり、なおかつまた七年先に、さらには何十年もずっと先に、もう一度ふと思い出して、あ、また聴いてよう、などと思っていただける瞬間があれば、そのときこそ、きっとこの作品の意味が成就するような、そんなイメージは抱いています。
 それはある意味とても贅沢な願いごとですが、どのみち「音」は、そのままにしておけば空気に消えてしまうだけで、それを第一義的にパッケージするのは「作品」。そして最終的にそれが貯蔵されるのは「記憶」。だから、音を練り、詩を磨いて、やっと出来あがったこのミニアルバムが、ほんの少しでも聴いてくれる人のこころの記録紙に音符とことばを残してくれることを願っても、そんなに贅沢ではありませんよね。



 ちなみにこれは、ほぼ十年ぶりに顔をまともに出したPVです(昔、和車が録ってくれた「post coda」以来。そのときは鴨川沿いだった)。撮影は代々木公園、監督はParanelくん、出演は午後の公園を楽しむ皆さん、FRAGMENTのクッシーさんも友情出演してくれました。とても気持ちのいい日だったと覚えています。

posted by youcan at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月11日

記録

■9/30(金)南池袋 ミュージックオルグ
ゆーきゃん×田代貴之

1.post coda
2.smalltown,smalldawn
(ここまで、ソロ。田代君到着)
3.明けない夜
4.太陽
5.サイダー
6.jesus can't save me


■10/2(日)西院 ウーララ
ゆーきゃん×岩橋真平×岡村寛子

1.背中
2.天使のオード
3.空に沈む
4.サイダー
5.エンディングテーマ


■10/10(月)南森町 てん
ゆーきゃん

1.空に沈む
2.smalltown,smalldawn
3.最後の朝顔
4.明けない夜
5.サイダー
6.sea of love


 mmm、ねじ梅タッシ、あだち麗三郎、野村和孝、その良さは知っていた積りでしたが、この三晩のライブを見て、あらためて素晴らしいなあと思いました。また、初めて拝見した、惑星の数え方、i need me、マイマイズ、おとぼけビーバー、Julie Hurd、みなさんどれもよい出会いでした。

 ECD氏がその昔、某雑誌のインタビューで「ラップすることは、ちっとも楽しくはない」とおっしゃっていましたが、ぼくにとっては、歌にも、単純な「よろこび」に還元することを拒む何かがあります。ソロライブのときの、あの、水の中で必死に息継ぎをしようとするのにも似た―うたうことをやめてしまえば、その場からは永遠に音楽が奪われてしまうという感覚は、とても静かな諦念で、ただひたすらに夢中でしかないのです。
 でも、「うたう」という自己表現に満足してしまわないからこそ、合奏にせよ共演にせよ、音楽を通じて繋がってゆくことに圧倒的な至福と祝福を見てとることができる、そしてそもそも「うた」そのものが持つ豊かな響きと奇跡を感じ取ることができるのではないか、という気もしています。

 ぜんぜん練られてない思考を垂れ流して、すみません(しかも以前どこかで「うたうことは圧倒的なよろこびだ」と書いたかもしれないのですが…おそらく、そのときと今では、ほんとうは同じことを言っているのだと思います)。頭の中でもうちょっと整理して、いつかあらためてどこかに書けるといいのですが。

 あ、そういえば、レコ発前、11月に一本、東京でのライブが決まりました。近日中にお知らせしますね。
posted by youcan at 08:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする