2013年10月31日

ボロフェスタを終えて

 ディノと飲みにいこうと約束していたのだけど、午後十時前、あいつのリハスタが終わるのを待っているうちに寝落ちしてしまっていた。ボロフェスタの仕込みが始まってからというもの、眠りにつくときの記憶がない日が続いている。ふっと電源が落ちる感じ。ぎりぎりのエナジーで生きている、といったら大げさだと笑われるかもしれないけど、こういうのは嫌いじゃない(でもディノごめん)。


 十二年目のボロフェスタが終わった。

 JJももぐら君も各所で書いているけれど、全公演ソールドアウトは、ありがたくも非常に大変な事態を運営にもたらした。KBSホールのあちこちにできていた行列。受付も、ドリンクも、物販も、クロークも、千三百人ちかくの客さんを捌くのに追われている。ライブが終わるたび出入りする人たち。流れが断ち切られ、ホールの入り口で大渋滞が起きる。

 ぼくらはもちろんその場面ごとに最善な方法をとるべく頭を悩ませ、議論し、ときには怒鳴りあった。それでも、あのロビーや通路や広場のキャパシティでは限界がある。導線は二日目の終演ぎりぎりまで確立することができなかった。
 そんな中、とにかくがんばってくれたのはスタッフたち。戦場みたいな現場、飛び交う声、振られ続ける誘導棒、休みなくカウンターに立ち続ける彼や彼女の横顔、ぼくらがどんなに考えても、とにかくもともとが忙しすぎるのだ。みんながご飯を食べる時間のやりくりにも苦労し、なんとか休憩をまわせるように心を砕いた部署リーダーたちの消耗具合も並大抵ではなかったと思う。みんなにあらためて、心からの感謝と敬意を送りたい。

 KBSに移ってからボロフェスタには「わけのわからなさ」が減ったと言われる。それを受けて今年のキーワードのひとつに「カオス」ということを設定した。同時多発のタイムテーブル。結末が予想できないアクシデントアクト。考えるまでもなく、混沌とはコントロールできないからこその混沌だ。ぼくらの能力や把握力を超える進行は、結局のところ自業自得だったといえる。

 けれど、だ。驚くべきこと、そしてめちゃくちゃにうれしかったことに−今年はつまらなさそうなスタッフの表情には、ほとんど出会わなかったのだ(そんなことない、オマエが見てないだけじゃ、全然おもんなかったぞ、タダでこき使いやがって、という感想があれば、謹んで傾聴します。メールください)。
 もちろん、しんどそうな顔、テンパった顔は何度も遭遇した。そのたびに、こんな目にあわせて申し訳ないと思ったのだが、二日目のアンコール、ソウルフラワーBiS階段の演奏にあわせて9mステージの上でめちゃくちゃに踊るみんなの晴れやかな表情は、きっと困難を自分たちの手で乗り越えた喜びでもあっただろう。肝心の10mステージの演奏そっちのけでフロアから見上げていたら、BiSのメンバーが投げる蒲鉾の流れ弾に何度も当たってしまった(あたった蒲鉾は、もちろん食べたさ!)。

 来てくれたお客さんたちは、どう思っただろうか。出入り口の混雑への不満は会場で耳にしたし、メールでも苦言をいただいている。不手際についてはお詫びして、来年への課題として真摯に受け止めたい。その上で、ボロフェスタが目指しているあり方−産業エンタメではなく、作品としての(あるいは生活を賭した遊びとしての)音楽フェス−を、どのくらい伝えることができただろうか。
 前夜祭はともかく、一日目、二日目ともに、エンディングを前にして帰ってしまうお客さんが例年よりやや多かったように思える。みんなそれぞれ事情があるだろうし、原因はタイムテーブルの組み方につきるのだろうが、残念なことがあるとすれば、それが一番大きい(もうひとつはスタッフにけがをさせてしまったこと)。最後まで観てもらってこそのボロフェスタ、彼らにとってはまだ「未完成」なままでいる。次はエンドロールまで残ってくれますように!そして最後まで残ってくださった方、いっしょに終幕を迎えられてよかったです。来年もよろしくおねがいします。


 寝起きの頭を晴らすためにつらつら書き出した文章、とりとめなくなりそうなのでこの辺で終わらせようと思うんだけど、その前にうれしかったことをメモ程度に羅列。

 リミエキのライブが始まる直前に、スタッフの女の子たちがホールの中へ駆け込んでいったこと。エンドロールでの拍手、出演者の写真が流れるところで、主催バンドにひときわ高い拍手がおきていたこと。来年もやりたい、と云ってくれたスタッフがたくさんいること−大学一回生の女の子は打ち上げで「あと四年は絶対やります!」と笑ってくれた。翌日の撤収に例年より多く人が来てくれて、スムースに作業が終えられたこと。ステージ資材を返しに行った帰りのトラックの中での、花泥棒・岡崎君との会話−リハの合間にメンバーで交わす話題がだんだんボロフェスタのことばかりになったと彼は話してくれた。KBSホールの山本さんがしてくださった、音楽と生活の両立に関するありがたいお話。そしてもちろん出演者たちのすばらしい演奏。とくにフロアに飛び降りたボギ八先生を400人が取り巻いて熱唱した「贈る言葉」と、ロビーでのクリトリック・リスの80分に及ぶ熱演は忘れがたい。EP-4のときにホールが人でいっぱいだったのも感動したなあ。
 ゆーきゃんの演奏後に楽屋でいただいた評価は、柏原譲さん「衝撃的な音の小ささでした」、ミトさん「ギターのチューニングしてて、うるさいって怒られちゃった」、山本精一さん「MCが何言ってるかわからへんくって最高やった」、佐藤薫さん「囁きますねえ」。憧れの人たちに自分のライブを観てもらえて、ほんとうに光栄。ちなみにZAZEN BOYSの吉田さんだけは普通に「よかったですよ」と云ってくださいました。
posted by youcan at 08:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする