2014年07月06日

ルウナ(ウミウマ)

 こころの底に沈めたいつかの静かな錘から、冬のキャンバス、銀色の空に刻んだ未来の点まで真っすぐ繋いで、ほら、夜を登って真っすぐ繋いで、滑り降りて笑うんだ。街でいちばん無邪気なふたりだよ。
 宝物ならみんな友だちに預けてゆけばいい。あたたかいコトバだけをポケットに入れて歩き出せばいいのさ。町はずれの凍えそうな公園、月の光、ジャングルジム。影を浮かべていまもそこでゆらゆら歌ってる。
 灯りが消えたらもう一度だけ輪になって、舗道にこぼれる取り留めもない日々の泡を拾い集めて、高く放り投げて駆け出すんだよ、遠くなってゆくだけの「またね」約束の代わりにさ。
 かさなる靴音。かさなる幾つもの淡い影たち。ひかりのたてがみは流れる雲の、空のうらがわまで眩しいほどに世界の頬を撫ぜて走る。だからマフラーをもう少しゆるめて耳を澄ますんだよ。





posted by youcan at 20:49| Comment(0) | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする