照り残す太陽は水底を抱きしめて
乱反射した晩秋の空に混乱と夢がほんの一瞬 限り無くうつくしい笑みを交わす
無造作に無邪気に放り投げた少年の詩が歳月を経て
いま 落ちてくる
脳天を強く強く撃つ
そのとき小鳥は赤い実をついばみ
甘い甘いいのちが一瞬に揺れ
そして僕はいったい君と何を分ち合えばいいのか分からないまま
ただ宇宙が同心円状に崩れて行く水面をぼんやりと見ている
明日またね、を飽きるほど繰り返した夏から
地中で眠ることだけが正しくなる季節へ
僕らは幸福を育て 幸福を殺して食べて 幸福に塗れた細胞の集合体だと誰かが言った
この身体を貫いて射す深いエコーのような残照をうけて
睡蓮の庭に浮かんだあの人と
睡蓮の庭を描いたあの人と
創作 輪廻 無限に繰り返す波紋のなかに
ひとつの景色が浮かび すぐに去った気がした