2008年08月18日

テレビ塔

あのテレビ塔から探し出したなら
感情七号を逆流する僕らの影は
まじりっけなしの不条理のように見えるだろうか
いつか一街道に翻弄される僕らの鼓動は
リージョンフリー ばね仕掛けの壊れたフュージョンとコンフュージョン あるいは浄瑠璃のように聴こえるだろうか
民主主義の宮殿も残酷な平和の号砲も ついには英雄に俳優に最新の祭壇に向けた数十万人の熱狂さえもが店頭 待合室 車内 路傍 どれほど街中に溢れても
きみの通り過ぎたあと 単純な故郷だけはもう手に入らない
街灯の果ての夜空に目を凝らし
そのどこか あるいは裏側に隠れたかげろうの廃屋 見渡す限りのとうもろこし畑 幻じみた強い陽射しの玄関先を夢に見ても
夏の嵐のあとであまりにあっけなく失われた景色たちは二度と立ち現れない
それはなんという孤独
それはなんという娯楽
そのおおきな空白のなかで 僕らはただ独楽のように回り
ぶつかり合っては惹きつけあって
別れ際には涙し
再び出会ってはくしゃくしゃに笑い
雨あがりの闇の内側で
夏の終わりを彩るひかりを 空に向かって投げて
最後の電車を乗り過ごしそうになり きりきりくるくると予定調和に舞い
居並ぶ見たことも無い顔 人ごみをごみではなくひとなのだとはっきりと知り
富にも地位にも名声にも自己実現にもその他一切の栄光にも換えがたいひとつの祈りを
あのテレビ塔から探し出して 呼ぶことができたなら
どんな風に感じるのだろうか
そのとき
どんな風を呼吸しているのだろうか
そのとき
きみの視線にはいったいどんな波が宿っているのだろうか

posted by youcan at 05:11| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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