2011年09月14日

Wild Thing's Arm

遠い風の匂いが一瞬 わたしたちを捉える
雷鳴 そして激しい雨 草原に吠える夏の暗い影

水かきを持たない陸の獣たちが獲物の夢を見る大洪水の前夜
大切なものがいったい何だったのか かれらは果たして覚えているだろうか
あるいは ついぞ知ることもなく 季節の深い袖に沈んでしまうのかもしれないがー

それでも言わなければらない

わたしがきみに贈るのは 金の首飾りではなく 飼いならされた日々の首輪でもなく
たとえば 燃えるようなたてがみの獅子が貪欲に今日を追いかけたその眼差し
たとえば 追いすがる豹を突き放し 明日に辿りつくまで走ったガゼルの足音
たとえば 分厚く立ちこめる雨雲の向こう側 やがて一斉に芽吹くだろう あの青い空の胞子たち
首に掛けるのものは ときに早く ときに静かに波打つ 自分の呼吸ひとつでよい

さあ それらすべてを携えて ゆけ
嵐を越え 夜を越えて あの美しい朝焼けに頬を染めるまで
きみが腕を横たえる場所は いまからこのちっぽけな牧場の外になる
たとえどんな危険も 恐れも 生きることの魅力には抗えないのだから


(9/3 京都METROにてSchroeder-Headz "Wild Thing's Arm"に載せて読んだ詩を、すこし推敲しました)
posted by youcan at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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