2014年02月08日

till the next time we say a long goodbye

 春が来るまでにできるだけいろんな街へ行きたいと書いたりあちこちで云いふらしたりしていたところ、本当にいろんな人が誘ってくれて(みんなありがとう)、まるでツアーミュージシャンのようなスケジュールが出来上がってきています。

 今月はあたらしい仕事の準備との兼ね合いで控えめにしているのですが、末から来月前半にかけて富山、名古屋、福岡、札幌、京都、東京、高知と回るつもり。日本中に頼れる仲間、会いたい友だち、すてきなやつらがいて、嬉しいを通り越してみんなに自慢して回りたい気分になります。でも移動手段や経路を考えるのが大変だ。

 来週は初めて水戸で歌わせていただけることになりました。昨年のつくばでもお世話になった絵描きのなつなつなさんによる企画で、メロウくんからもいい場所だよと教えられていたミネルバへお邪魔します。共演は、不思議な御縁で鴨川で朝まで飲んだライブペインティングパフォーマーの近藤康平くんと、長い間会ってみたいなあと思っていてついに邂逅が果たせたシンガーの樽木栄一郎くん。実り多かった去年の出会いのなかでも、ぼくのなかで大きなウェイトを占めているふたりと共演できるのは、大きな喜びです。そういや康平くんと共演するのは初めてだ。あの、全身全霊を使ってキャンバスを塗り替え塗りこめてゆくライブペインティングの現場に立ち会えるのがとても楽しみ。

 イベントのこと、共演のふたりのことについて、なつなつなさんが書いてくださっています。
 http://natuna-event.jugem.jp/?cid=15
 何日分かのエントリさかのぼって、読んでいってください。ぼくがとくに、そうだなと思ったのは二月四日のところ。
一生のうちに
どれくらいの人と出会えるのだろう

もう
出会わない人も
きっといるだろう

ライブは
長い人生の中の
たった一瞬かもしれない

でも
そのたった一夜が
すべてを変えたりもするんだよな

 京都や東京での暮らしを振り返るにつけ、ずいぶんとちいさな世界でちいさなことをやってきたんだと、あらためて感じています。ずっと考え続け、答えが出ないまま、三年前のあの日(もうじきまる三年になるんですね)ますます大きく立ちはだかってきた<歌になにができるのか>という問いに対しては、いまだに<たいしてなにもできないけれど、なにもできないわけではない>ということくらいしか分かっていない。
 でも、そんな小数点以下みたいな<なにか>を積み上げてはまた崩し、うまくいったりいかなかったりに一喜一憂するのがライブだとして、それがどうしたわけか、おなじように小数点以下の<なにか>を積み上げる誰かの人生にぶつかったりすることもある。そして、何かを変えることも、確かにあるんですよね。

 富山に戻ってきてからも、色んなお誘いをいただくたびに出かけて行くものですから、母親が驚いて「あんた、そんな社交的な子やったけ」と、感想とも感嘆ともつかない一言を洩らしました。まったくおっしゃる通りです。だってあの頃はグランジばっかり聴いて、強がって、ひとを認めないことをアイデンティティにしたがるような高慢ちきな十七歳でしたから。
 あの頃の自分に向かって、あと二十年もしたらきみには日本中に友だちができて、海外にもできて、きみがいまはくだらないと思っている些細なことにすぐ感動したり涙ぐんだりするようになって、生きてて良かったとか思ったりすることもけっこうあって、あっちこっち歌いながら飛びまわることになるんだよ(そしてまた富山に帰ってくるんだけどね)と教えてみたら、ぼくは信じるでしょうか。信じないでしょうね。
 歳をとると人間が丸くなるといいますが、それはつまり小数点以下の出会い、小数点以下の交差、小数点以下の衝突、そういう無数のそういうものたちが、ぼくらを磨いてゆくからなのだと思います。ぼくはと言えば、まだまだ凹凸やざらつきはなくならず、一部は磨かれるを通り越して擦り減ったりもして、いまだずいぶんといびつな状態ではありますが、それでもちゃんと、人間を信じたり希望を抱いたり、そしてそれを恥ずかしげもなく口にするくらいはできるようになった。ありがたいことです。
 磨いてもらったぶん、こんどは自分がだれかの研磨剤にならなくちゃと思っています。あと二カ月、数回のステージのうちに、ぼくがもっている小数点以下をせいいっぱい、目いっぱい削りだしたい。それが何かを変えるかどうか―変えるまでは至らなくても、誰かの些細な日常にほんのすこし滑らかさとツヤがでる、くらいのことはできるはず。正確には、ぼくの歌でというより、その夜その場所に集まったみんなの力によって叶うと云うべきなのですが、とにもかくにも一生懸命、一期一会のつもりでうたおう、と。


 そういえば最近ブログの更新多いですね、とご指摘をいただきました。暇なんですかと。いや、けっして暇じゃありませんよ。たしかにサンレインとボロフェスタを同時で進めていたときなんかに比べたらずいぶん余裕もありますけどね。簡単にいえば、話せるうちに話したいことを話したいだけなんです。ほんとうのことは詩のなかにしかないとか、ことばに吝嗇でありたいとか、強度のある文章だけを書けるようになりたいとか、いまでもそんな風に思う気持ちは無きにしもあらずなんですが、でも、やっぱり軽々しくいこうと。こういうのってあんまり重みも厚みもないけど、はじめからおれたちには重みも厚みもないしな、というわけです。
posted by youcan at 08:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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