2020年06月30日

これから何をしようと勝手だよ

 震災のあと何年か経って、京都を去ることにした。富山で就職を決めるにあたり、なんとなく「もう音楽はやめなくちゃならないんだろうなあ」と思っていた。続ける自信もなかったし、実際のところ、日々ネットニュースや現場の声を聴きながら、自分がムーヴメントから遠ざかっていること、つまり過去の人になっていることは感じつつあった。「だんだん消えていくよりは燃え尽きたい」燃え尽きる方法は分からないけれど、とりあえずもう消えてしまったつもりで生きるしかないだろうと感じていた。

 実際そうやって平日は心を無にし、土曜は昼まで寝たのち銭湯に行って海を眺め、日曜にはぼんやり海を眺めて銭湯に入り、夕方6時に布団に入っては1時間刻みで目を覚ましては、月曜日の出勤まであと何時間あるかを数えながら過ごした。給料のほとんどはCDに消えたけれど、実際は何も聴いていなかった。未開封の塔だけが高さを増していった。

 "AFTER HOURS"がリリースされたのはそんなときだ。夏目くんから連絡がきて、高岡のHMVで発売日に買った。毎晩聴いた。家で、車の中で、そして頭の中で。週末にギターを持つ日がまた少しづつ増えていった。レコ発イベントに遊びに行った友人から、曲のモチーフにぼくが含まれているとMCで夏目くんが言ったと連絡が来た。タイトル曲である。驚いたし、6年経った今でも驚きを隠せない。格好の題材だったんだろうなあと思う。返歌を書いた。アルバムを作れるだけのストックができた。あの5月があったからこそ、いまもぼくはまだ続けていられるのだと思う 。創ることは生きることと同値であるのだと頭ではわかっていても、やっぱり見失う日はやってくる。でも、這いつくばりながら手探りで床のシミを追いかけている日でさえ、ぼくたちは最も「生きる」時間を生きているのだ。朝から始まるパーティ=アフターアワーズは、ミラーボールの煌めきの下やダンスフロアばかりを舞台としているのではない。きみが暮らす場所すべてがきみのステージだし、その証拠に階段の間のちょっとしたスペースが「踊り場」なんて粋な名前で呼ばれるんだよ−そんなことをあらためて教えてくれたのは、シャムキャッツだった。


 解散にあたってリリースされる彼らのベストアルバムが「大塚夏目藤村菅原」というタイトルであることには、本当に拍手しかない。バンドとは、つまるところ人間だし、関係だ、ということだろう。そしてこいつを世の中に放り投げて立ち去るやり方は、音楽というものがどれほど「つながり」であるか(かつ、どれほど「きずな=つなぎとめるもの」でないか、言い換えるとぼくたちがいかに自由な存在であるか)をはっきりと示していると思う。バンビ、夏目くん、藤村くん、菅原くん、まずはお疲れさま。僕にとって東京で過ごした日々については反省の方が圧倒的に多いんだけど、きみたちに会えただけでもやっっぱり意味があったんだなあと、あらためて思います。どれほど感謝してもしきれません。この先のきみたちの人生がどうか好き勝手で豊かななものであり続けますように。心より祈っているし、ずっと応援しています。


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2018年10月20日

#9-1

 反対する姿、従わない姿はただみっともないのだという論調について考え続けている。非協力的なことは悪で、足を引っ張ることは罪で、みんなで協力して何かを成し遂げることこそが美しいのだという教えについて考え続けている。積み上げていくうちはそれでいいのかもしれない。問題はその電波がどこからか降りてくるときだ。あるいはその電波にぼくらが自動でチューニングを合わせてしまうときだ。協力したのちに何があるのか、従った先はどこに向かうのか、本当はそれこそが問題なのに、思考停止してしまうのはなぜなのか。
 一体になることと全体になることの重なりに注意しなくてはならない。unityとtotalismは異なるものだと思いたいけれど、高揚感や安心感という点では共通する何かがあるような気がする。でも、だからこそ、自由を預けることとそれを溶かしてしまうことの決定的な違いについて、はやく、確かな伝え方を見つけ出さなくてはならない。支配者たちはいびきなんて掻いてない。眠りこけているのはわたしたちの方だ。朝起きたらみんな監視塔の下にいて、そればかりか命令書がポケットに入っているー「お互いに"間違わないように"、監視しあいなさい」というものだ。世界を変えることを夢見ていたのは覚えているけれど、どんな世界を夢見ていたのかは忘れてしまっている。走り出した影があり、笛の音が聞こえ、どこへ向かうのか知らないままに、ついて行きたくなっている。全体になることは名前をなくすことで、みんなになることはばらばらにされること、そのときいちばんからっぽで危険なのは、からっぽの世界ではなくて、からっぽのきみやぼくや彼らの、からっぽの衝動なのだ。

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2015年06月19日

7月の現状(お知らせなど)

 7月は4本、ライブがあります。どれも主催者の想いの籠った企画です。(時間があればあらためて書きます)nanoのステージに立つときはいつも特別な気持ちだし、富山のお寺での一晩なんてとびきり貴重なものになるだろうし、東京は久しぶりだし、念願のleteだし、どれも悔いのないよう、うたい切りたいと思っています。

 それから、連休をつかって、また甲府へレコーディングに行ってくるつもりです。今度は歌入れ。新しいアルバム、ゆっくりですが、すこしづつ形になってきています。9月ごろには完成に持っていきたいなあ。
 ついでに先の話をしておくと、10月には金沢でちょっとしたイベントを考えています。そしてボロフェスタがあります。11月には能楽堂でまたあいつを企画中。予定があるということはよいことですね。太宰治のようなことを言うならば、それまで生きていようと思えるから。

 そういえば、3枚目の作品『ロータリー・ソングズ』の在庫が少なくなってきているそうです。メーカーにも倉庫にもストックがないのだとか。ちなみにぼくの手元にもストックはゼロです。またどうせブックオフの100円コーナーに流れていくんだろ、というシニカルなささやきが脳裏で聞こえる気もしますが、それもまたこのアルバムが世に出た証かなあとも思います。地味です(というかそもそも派手な作品がない)が、味わいは深い一枚です。見つけたらぜひ手に取ってみてください。

◇「うたいながらいきていく」
2015年7月4日(土)livehouse nano
開場 17:oo / 開演 18:oo

歌う人魚と青い鳥(吉田峰子+金菱哲宏)
ゆーきゃん+足田メロウ
水窓(石川文子・豊原エス)+國木まちこ
川崎テツシと燃えるキリン
ドクロズ

前売 2,ooo円 / 当日 2,5oo円(ともに1ドリンク代別)

livehouse nano
京都市中京区押小路通西洞院東入ル二条西洞院町632-3
TEL:075-254-1930
http://livehouse-nano.com/


◇「ぼくら、わたしたちのお寺」
2015年7月11日(土) 射水市市井 光照寺
日没より、7月12日(日)朝方まで いつでも出入りは自由です。

ゆーきゃん
岡田彩香
たちなみえみ
石川征樹
峠祐樹ファミリー

他、宿泊、勤行、ありがたーいお説教
お寺で一晩過ごして、様々なひとたちとの交流を深める日にしましょう。

参加費は無料ですが、懇志(カンパみたいなもの)よろしくお願いします。
寝具(寝袋、布団など)、食べ物や飲み物(お酒可)持ち寄りでお願いします。
宿泊場所は本堂、又は座敷に50名泊まれるスペースがあります。
駐車場15台分あります。
テント張りたい方、BBQされたい方、肝試しされたい方、要相談おねがいします。
親子で、友達やペットと、おひとりでも、みなさんのご参加おまちしております。

主催:光照寺 くもな いたる
射水市市井(「いちのい」と読みます)275番地
http://navitoyama.com/0766-54-1604/
kumona2009@yahoo.co.jp


◇「dangerous光秀武蔵野北町riot vol.3」
2015年7月25日(土)秋葉原GOODMAN
開場 16:oo / 開演 16:3o

MUSIC FROM THE MARS
BossstonCruizingMania
ジョー長岡
Rent:A*Car
ゆーきゃん
かくら美慧
ひまつぶし

FOOD SPICE ADDICTS
cafe ササササキ

入場料 2,5oo円(1ドリンク代別)

CLUB GOODMAN
〒101-0026 東京都千代田区神田佐久間河岸55 ASビルB1F
TEL 03-3862-9010
http://www.clubgoodman.com/

◇「あかるい部屋」
2015年7月25日(土)下北沢lete
開場 19:oo / 開演 20:oo

ゆーきゃん

予約 2,3oo円 / 当日2,5oo円(ともに1ドリンク代別)

チケット予約 (6月25日より受付開始)
宛先 reservation@l-ete.jp
件名 7/25 ゆーきゃん
メール(お名前、連絡先、希望人数をご記入下さい)での受付となり、先着順に受付のご案内を返信いたします。尚、精算は公演日ご入場時となります。当日券の有無は公演日の18:00〜18:30に電話にてお問い合わせ下さい。定員になり次第、予約受付締め切りとなりますのでご了承下さい。

lete
〒155-0032 東京都世田谷区代沢5-33-3
TEL: 03-3795-0275
http://www.l-ete.jp/

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2015年06月18日

無題618

遠い風の匂いが一瞬 わたしたちを捉える
雷鳴 そして激しい雨 草原に吠える夏の暗い影

水かきを持たない丘の獣たちが 魚たちの夢を見る大洪水の前夜
大切なものが何だったのか かれらは果たして覚えているだろうか
あるいは ついぞ知ることもなく 波打つ季節の袖の奥深く 沈んでしまうのかもしれないがー

それでも言わなければらない

わたしがきみに贈るのは 栄光に輝く髪飾りでも 飼いならされた鉛の首輪でもなく
たとえば 燃えるようなたてがみの獅子が 貪欲に今日を追いかけたその眼差し
たとえば 追いすがる豹を突き放し 明日に辿りつくまで走ったガゼルの息遣い
たとえば 分厚く立ちこめる雲の向こう側 やがて一斉に芽吹くであろう青空の胞子たち
きみの首に掛かるのものは ときに早く ときに静かにはためく 自分の呼吸ひとつでよい

さあ ゆくんだ そいつを携えて
嵐を越え 夜を越えて あの美しい朝焼けに頬を染めるまで
きみ 痩せっぽっちの荒くれ者よ
腕を横たえる場所は いつだってこのちっぽけな牧場の外だ
たとえどんなに眩い危険も 磁石にも似た恐れさえも
生きることの愚かさには 打ち付ける大粒の雨のような魅力には
抗うことができないのだから


 渡辺シュンスケさんとは、折に触れてご一緒させていただいている。この詩は2011年9月、シグナレスとシュローダーヘッズのツアー中に書いた。シュローダーの演奏に合わせて、池永さんがピアニカを吹き、ぼくが朗読をした。
 前回は一昨年、ウーララの14周年。& ARTの中本さんに協力していただいた企画で、シュンスケさんは林勇気くん、ぼくはメロウくんと、それぞれビジュアルアーティストとコラボレーションをしたんだっけ。cafelonは昔から知っていたし、マネージャーの吉田さんと知り合ったのは12年近くも前のことだし、今回がまだ3度目の共演というのは我ながら意外だ。
 意外だ、と書いてすぐに手のひらを反す。この人のキャリアを思うにつけ、そしてその立場に相応しいプレイを見せつけられるにつけ、ほんとうにこんなすごい人と一緒にやっていいのだろうか、と恥ずかしくなる。だって、佐野元春とか、リヴァース・クオモとかいった名前が、すぐ向う側にいるんだよ。音楽は名声でやるものではないけれど、日本語ロックのオリジネイターや、パワーポップの神様に、このピアニストは愛されているんだよ。なにより、そんな人が今夜は大ホールではなく地元の小さな会場で、共演のバンドマンたちに囲まれて、にこやかに酔っぱらっているんだよ。

 シュンスケさんがピアノを弾くと、ピアノが楽器だということを思い出す。ぼくは変なことを書いているだろうか。文字どおり、うつわ、だ。音が湧きだす器。もっきりやの、癖のありそうなグランドピアノが歌いだすのを聴きながら、部屋中が音で満たされてゆくのを見た気がする。

 そんなシュンスケさんと、今回は金沢ということで、noidのさんちゃんをドラムに迎えて、3人でセッションをした。ゆーきゃんのステージで3曲、"0764"、"サイダー"、そしてブルーハーツ"月の爆撃機"のカヴァー。続くシュンスケさんのステージではこの"Wild Thing's Arm"を。数日前に、一緒にやろう、とメールをくださったシュンスケさんだが、いざリハーサルで合わせようか、というときに「リリック忘れたよ」と(シュンスケさんが持ってきてくださることになっていた)。東京にいるマネージャーさんから送ってもらうか、どうやって?メール?ファックス?いや、間に合わないかもなあ。仕方ない、また一から書き直すか、とあきらめかけたころ、思い出したのが、ブログの古いエントリ。一旦ホテルの部屋に戻り、PCを借りて、持ち歩いていた自由帳に書き写した(ちょっと手を加えた)。

 詩のすばらしいところは、そいつを書いた季節、そいつを読んだ年齢、そいつが載った書物やそいつを取り巻いていた音楽の中に、いつだって帰っていけるところだ。そして、にもかかわらず、いつの間にか流れ去っていった時間や、変わっていった自分を感じさせてくれるところだ。あの頃、大きな地震があり、成功への淡い期待や苛立ちがあり、あきらめきれない夢や幸福があり、出会った人や傍にいてくれた人や離れていった人がいた。それはまったく確かなこと、同じようにあれからいま、この場所にぼくがいて、ここに至るまでのあらゆる移ろいもまた、まったく確かなこと。先週の日曜日、金沢は柿木畠で、そんな真実(大げさな言い方かもしれないけれど、これ以外には思い浮かべられない。ごめんよ)が、100均で買った自由帳の一ページにでっかく、書きなぐられたことばの内側と外側でまぶしく、輝いていたのだと言ったら大げさかな。

 翻って、いま、きみの書く詩は、きみのうたう歌は、きみの描く絵は、どうだろう。いつか里程標のように、ここからきみの歩く道のりを教えてくれる日が来るのだろうか。少なくともぼくは、あの頃こんな風になるとは思わなかった暮らしの中で、またどうなるか分からない未来に向けて、きみと、ぼくと、あるいはまだ見ぬ誰かとの約束のように、書き続けよう、うたい続けようと思うよ。たとえ果たされなかった、反故になった約束も、けしてただの紙屑ではなく、なにかできたかもしれないことの設計図、それに向かってきみが何かを積み上げたとしてものたちの記念碑として、残しておいたっていいんだと思うよ。


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2015年01月06日

HELLO HELLO IT'S GOOD TO BE BACK

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 2015年が始まりましたね。

 毎日を流れる時間の総量は変わらない、変わったのは日々の速度に肌で触れるきみ自身の感度のせいだと、どこかで読んだ本に書いてありました。
 今年はどんなふうに流れ去って行くのでしょう。ぼくたちは何を掬い取ることができるでしょう。

 年末は仕事納めも早々に福岡まで飛び、名古屋へ行き、京都でも三本ライブをしました。打ち上げも、そのあとも続く夜遊びも、できることは全部やりました。寝る間も惜しんで、とはこういうことを言うのだろうと思います。
 旅をすることのなかには、いろいろな行為が含まれています。空気に触れること、景色に出会うこと、人に出会うこと、お酒や食べ物、ミュージシャンにとっては音楽を奏でることも聴くことも含まれる。2014年の終わり際、ぼくは一年間の不足分を埋める勢いで旅をしました。少々欲張りすぎたらしく、富山に戻って風邪をひきました。ほんとにばかだなあ。

 そういえば、去年は、ぼくにとって活動開始から15年、ファーストアルバム『ひかり』のリリースから10年にあたる年でした。こういうことを後から言い出すのが我ながらまた格好わるいのですが・・・ともかく、節目にあたる年のさらに大詰め、12月29日に名古屋のバー”Hunny−Bunny”で「ソフテロ、YOK.、ゆーきゃん」というラインナップのライブがありました。

 YOK.さんは、知り合ってまだ3年にも満たないのに、なんだか不思議な親近感を覚えるSSWです。とくにこれといって深い話をするわけでもないのですが、歌との距離感やイメージの描き出し方がぼくの理想に近いからでしょうか。そして何気ない話のなかで、はっとするようなことを彼女が言うからでしょうか。
 昨年の2月、その時は間違いなく休業するつもりで「当分最後の名古屋!」という触れ込みのもとに開催したライブ(奇しくも今回と同じくTSURUくんに主催とDJを頼み、ryoheiさんのお店drawingが会場でした)に来てくれた彼女から、別れ際に貰ったことばは「どうせ、すぐ戻ってくるよ、ゆーきゃん君。やっぱりやめられませんでした、とか言って。そしたら、ばかだなーって笑いながら拍手で迎えてあげる」でした。そして、実際そんな風になってしまうのですね。はい。ばかです。でも一年経って、ただいま、やっぱり無理でしたよ、という報告を彼女にきっちり伝えられてよかったです。
 久しぶりに見たYOK.が素晴らしかったことも特記しとかなくちゃ。今更詳しく思い出すのも面倒なので突き詰めはしませんが、昨年の私的ベストアクトではないかと思うくらいです。あれほど丁寧かつナチュラル、繊細なのに素朴で、奥ゆかしいアイディアと奇をてらわないスタンダードがぴったりと同居した歌は、なかなか聴けないんじゃないかな。

 ソフテロ石川君は、同い年です。知り合って14年になります。実は、ゆーきゃんが京都府外へライブに出かけていった最初の土地は名古屋でした。そしてそのときの共演がソフテロだったのです。
 石川君の歌は、変わっていませんでした。60年代ブリティッシュもマイアミソウルもNRBQもスーパーチャンクもぜんぶ飲み込んで、でも結局は自分なりにしか歌えなかった、不愛想で心優しい歌。初顔合わせで演奏したのと同じ曲を、石川君は歌ってくれました。ぼくが彼のライブを見たフロアでの位置、打ち上げで話したこと、宿を取っていなくて心配をかけた主催のシルヒさんの顔、ライブハウスの前で写真を撮ったときの暑さ、めちゃくちゃに混んでいた十八きっぷ、自業自得の泥沼みたいな失恋(これは余計か)、一度にぜんぶ、思い出しました。まさに夢から覚めたみたいに。 

 彼が、その日のことをブログに書いてくれています。とても素敵なので、読んでみてください。
 http://blog.livedoor.jp/softero/archives/52057636.html

 ステージから石川君に向かって「つづけるよね、死ぬまでやるよね」と呼びかけたとき、一番びっくりしたのは、間違いなくぼくでした。照れもせず、臆することもなく、かといって高揚することもなしに、まさかあんなことをあんなに平穏な気分で言えるとはね。

 石川君がブログの中で書いている「音楽の側」という表現。
 うん。たしかに、いま、ここに居られて、心からうれしいと思っています。

 ぼくにとって(みんなにとってもそうだと思います)去年はいろいろあった年でしたが、一番大きな変化は「あなたにとって音楽とは何ですか?」という問いに対する答えでしょうか。いまは、胸を張ってこんなふうに言える−音楽は趣味です、そして生きる糧です。

 手段にならず、犠牲にならず、
 目的が目的でしかないことは、なんと幸福なことなのでしょうか。
 ぼくは、2014年、音楽との心地よい関係を取り戻したのだと思います。
(それが正しいというわけではなく、ぼくと音楽との距離は、このくらいがふさわしいということです。それがぼくにとって「音楽の側」に帰ってくることだったのだと。)

 願わくは、どんなことにおいても、大切なものとの関係は、それ自体を目的としてありますように。ほかの何かのために何かを使うのであれば、それはもう、きみにとってほんとうに大切なものとは言えないのですから。

 さて、慌ただしく駆け抜けた年末から一転、2015年のゆーきゃんのライブはまだ一本しか決まっていません。2月7日(土)、金沢アートグミにて、TOPSの来日公演(なんと初日!)に出演させていただきます。

 それ以降の予定は未定。春が来るまでにレコーディングを始めたいと考えているのですが、玄さんをはじめ、メンバーの都合もあるのでどうなるかはまだわかりません。でも、いい曲は着々とできていますよ(30日に生で聴けたみなさん、あれはまだ一部ですが、「ゆーきゃんの新曲、やばかったで…」と言いふらしておいてください。ハードルを越えられるように頑張りますので!)。早くみんなに聴かせたいな。

◇2015年2月7日(土)金沢アートグミ
「Magical Colors Night」
開場16:30 / 開演17:00
前売2,800円 / 当日3,300円 / 学生2,000円(共に1ドリンクオーダー別)

noid
TOPS(Canada)
SOUR
Turntable Films
OLDE WORLDE
ゆーきゃん
DJ 岡村詩野

チケット予約 / 詳細お問い合わせ
magicalcolorsnight@gmail.com
(予約の際は@お名前 A連絡先 B枚数をご明記ください) 

*タワーレコード金沢フォーラス店、TSUTAYA金沢店、新星堂アピタ松任店にて「2.7 Magical Colors Night 出演アーティスト無料サンプラーCD」が入手できます。ゆーきゃんはTurntable Films「evil tongue」のカヴァーを提供しました。ライブと併せて、ぜひ。各出演者の詳細は↓の画像を2度ほどクリックしてみてください。
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2014年12月26日

We've been golden (in winter) *お知らせもあります

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 久しぶりに電話口で話した友人に、開口一番「疲れてんなー。ツイ―ト見たら分かんで」と言われました。Twitterを初めて三か月くらいになりますが、仕事帰りの呟きを読み返すと、ささくれだった気持ちがありありと蘇ってくることも確かにあります。誰かに聞かせるでもなく、でもはっきりと公共の宇宙に投げ出されてしまうことばは、タイムラインに漂いながら何を思っているのでしょう。
 
 とにかく、気が付けば年の瀬です。早かったのか長かったのか、振り返って何かあったような何もなかったような、ぼくにとっての2014年はいまだ整理不能なまま、この閑散とした地方都市、殺風景なアパートの一室に転がっています。忘れることも精算することもできやせず、このまま2015年を迎えるんやろな。

 十二月に入ってから、雪が頻繁に降っています。自動車に付いている<4WD>スイッチの力を思い知らされたり、ゴム長で歩くことを恥ずかしく感じなくなったり、雪の色が白くてほんとによかったとあらためて考えてみたり、融雪装置のスプリンクラーが頑張りすぎて背中に水をかけられたり、北陸の再洗礼を何かと受けているところですが、そんななかでも一つ、思い出したことがあります。

 ウーララというバンドでギターを弾いていた、トキタくんというひとも富山出身でした。彼は大阪に住んでいて、共演も数度したくらい、それほどたくさん顔を合わせたわけでもありません。ただ、何かの機会で話をしたときに、とても印象深いフレーズを教えてくれたのです。

 彼は、北陸の空がふとした瞬間に「金色の灰色」になる、と言いました。
 大阪鰻谷から京都丸太町に帰る京阪電車の中で、ぼくは故郷の冬を思い出していました。そうだったっけ。そうだった気もする。でもロマンチックだな、その言い方。覚えておこう。ぼくの上にあった空は、金色の灰色だったことにしよう。

 こちらに帰ってきて、冬がやってきて、当初の「今年の積雪は少ないでしょう」という天気予報を裏切って、さっそくまとまった降雪がありました。
 雪が絶え間なく降るとき、空はまるで天蓋のよう、あるいはトラックの荷台にかかる幌のようです。どこからやってくるのかも分からない雪と、その先にある暗い何かをじっと見上げていると、あの向うに外の世界があるのだ、北国の人間はそこから遮断され、有無を言わさず閉じ込められているのだ―そんなやるせない気持ちになることもあります。

 金色の灰色は、どうでしょうか。見えたでしょうか。
 たぶん、見えたと思います。トキタくんがあのとき、どの空を指してそう言ったのか定かではありませんが、たしかに、あっ、と思う場面はたくさんあるのです。
 降雪が小康状態になり、雲が薄れ、ヴェールの向こうに弱い太陽が滲む。
 夜通し降り続いた雪のあと、田んぼのあちら側を、雲の切れ間を縫うようにして朝日が這い上がってくる。
 短い昼の名残を惜しみながら、夕陽が冬の町、国道の向こうに溶けてゆく。

 そのどれもが、非常にメランコリックで鈍く、それでいてどんな強い光よりも鮮明で、この風景は日本海側の専売特許かもしれないと、いつも勝手な感動を覚えます。
 でも、それよりもぼくが好きなのは、あの刷毛で塗ったような雪雲そのものがもっている明度と輝度です。地味で単調で、見る人によってはただ陰気なだけの空が、どうしたわけか、ある瞬間だけは驚くほど明るく、眩しく、透明にさえ見える。その向うにある太陽と、雪の反射と、もしかしたら空気の温度や湿度の関係もあるのかな?とにかく、「金色」とは形容できないまでも、いつかまたトキタくんに会って、飲んだりすることがあれば、ぼくの見た「かがやく灰色」について、熱く手短に(うざがられるかもしれないので…)報告したいと思っています。

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 さて、実は明日から5日続けてのツアーがあるのでした。おいおい宣伝くらいしろや、やる気あんのかい、もう一人のぼくはいつも言っているんですが、どうしても後手後手に回ってしまいます。来年からはきっとなんとかする!…もう来年の話をしても鬼は笑いませんよね。

以下、明日から31日までの詳細です。
30日のnanoはバンドセットによる長尺のステージ。どのショウも素敵なものになりますが、ぜひ来てください。

◇12月27日(土)福岡 天神 VooDoo Lounge
「ラウンジサウンズフェスティバル2014」
開場13:30 / 開演14:00 / 終演23:30
入場料2,000円(1ドリンクオーダー別)
出演順
14:00 ボギー
14:20 InとOut逆菩薩
14:55 Martens
15:15 林まゆ
15:35 Bellbottom from 80's
16:10 世界のザキ
16:35 ななこが
17:00 brownbems
17:20 井上周一(folk enough)
17:40 白痴
18:10 oriental☆cabaret(ベリーダンス)
18:30 チャーリービーンズ
18:50 ニブルスくん
19:10 DX集団下校
19:45 鮫肌尻子とダイナマイト
20:20 THE VOTTONES
20:40 ハナアロハ(フラダンス)
21:00 漢方先生
21:20 木藤和也
21:40 nontroppo
22:00 ゆーきゃん(富山,ex京都)
22:20 フアリナ
22:40 ぱちゅ〜む
23:00 宇宙サービス

DJと司会)ボギー
似顔絵屋さん)モンドくん(先着15名)
FOOD)VooDoo特製チキンカレー


◇12月28日(日)京都 二条 livehouse nano
「メシアと人人presents」
開場 18:00 / 開演 18:30
入場料1,500円 / 学割1,000(共に1ドリンクオーダー別)
Hi,how are you?
ゆーきゃん
ほりゆうじ…
メシアと人人


◇12月29日(月)名古屋 新栄 Hunny-Bunny
「ゆーきゃん ソフテロ よっく。」
開場19:00 / 開演19:40
入場料1,500円(1ドリンクオーダー別)

ゆーきゃん
ソフテロ
YOK.
DJ TSURU / ryohei


◇12月30日(火)京都 二条 livehouse nano
開場 18:00 / 開演 18:30
前売2,000円 / 当日2,300(共に1ドリンクオーダー別)

ゆーきゃんakarui heya band
chori(band)
opening song of the world for you:よしむらひらく

この日は22時からKYOTO MUSEで開かれている「公◯食堂&MUSE大忘年会!!!」にも出演します。
ライブというより、ただの余興ですが。詳細は↓
http://www.arm-live.com/muse/kyoto/liveschedule/index_201412.html


◇12月31日(水)京都 木屋町UrBANGUILD
開場 20:00 / 開演 21:00
入場料2,000円(1ドリンク&振る舞い雑煮付)

ゆーきゃん + 足田メロウ(painting)
吉田省念
コロイド(たゆたう+かりきりん)
数えきれない

仙石彬人 AKITO SENGOKU [TIME PAINTING]
and more & more....!


あ、それと最後にもう一つ。
京都在住時に録音した最後の作品が、7e.pからリリースされました。
カヴァー、セルフカヴァー、そして新緑を含む7曲入り。
アバンギルドで録音しました。モイチさんが録ってくれました。
http://www.7ep.net/item/epcd081/
ジャケの絵はもちろんメロウ君です。この記事の一番上に出てくる絵ですよ。

試聴は、前回のツアーでお供させていただいた(7e.p.が招聘元でした)ジュリー・ドワロンの名曲。気になったかたはぜひとも。


…わすれてた!ぼくのツイッターアカウントは
@aka_rui_heya
です。わりとRT多めですが、たまにちらと覗いてみてください。あんまりいやなことは書かないようにしますので!
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2014年07月06日

ルウナ(ウミウマ)

 こころの底に沈めたいつかの静かな錘から、冬のキャンバス、銀色の空に刻んだ未来の点まで真っすぐ繋いで、ほら、夜を登って真っすぐ繋いで、滑り降りて笑うんだ。街でいちばん無邪気なふたりだよ。
 宝物ならみんな友だちに預けてゆけばいい。あたたかいコトバだけをポケットに入れて歩き出せばいいのさ。町はずれの凍えそうな公園、月の光、ジャングルジム。影を浮かべていまもそこでゆらゆら歌ってる。
 灯りが消えたらもう一度だけ輪になって、舗道にこぼれる取り留めもない日々の泡を拾い集めて、高く放り投げて駆け出すんだよ、遠くなってゆくだけの「またね」約束の代わりにさ。
 かさなる靴音。かさなる幾つもの淡い影たち。ひかりのたてがみは流れる雲の、空のうらがわまで眩しいほどに世界の頬を撫ぜて走る。だからマフラーをもう少しゆるめて耳を澄ますんだよ。



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2011年03月16日

東日本大地震救済支援コンピレーション・アルバム『Play for Japan』

参加しています。
以下、概要。
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OTOTOYチーフ・プロデューサー、Limited Express (has gone?)、BOROFESTA等の飯田仁一郎です。

未曾有の大地震、大津波、そして原子力発電所の事故、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。また、負傷された皆様、家を奪われた皆様、本当に大変だと思います。お見舞い申し上げます。

阪神・淡路大震災の時、当時高校生だった僕は、実家の西宮にいて被災者となりました。電気は3日間、ガスは1ヶ月来ませんでした。学校は遺体の安置所となり、1ヶ月以上開校出来ませんでした。

そしてこの度、東日本大地震が起こった後、ミュージシャンとして、そして音楽配信サイトOTOTOYで働く者として、阪神・淡路大震災の被災者として、僕たちが今出来る事を考え、OTOTOYで東日本大地震救済支援コンピレーション・アルバムを作るに至りました。

アルバム・タイトルは、『Play for Japan』。「日本の未来のために演奏する」と言う意味を込めています。

ミュージシャンは、音楽を生むことが出来ます。音楽配信サイトは、それを出来るだけ早く販売し、お金に変えることが出来ます。そこで、まずOTOTOYに関わりのあるミュージシャンやレーベルの方をお誘いしました。当初は50曲ぐらいと予想しておりしたが、様々なミュージシャンやレーベルの御協力もあり、なんと112アーティスト、112曲もの楽曲が集まりました。また一般公募したジャケット・デザインにも多くの人に申し込みいただき、その中から6人の方にお願いし、各アルバムごとのジャケットを作っていただきました。また、OTOTOY編集部と多くのライター、そして3人のマスタリング・エンジニアが、その112曲を6枚の完成版に仕上げてくれました。

多くの方のご協力を得て完成させることが出来た『Play for Japan vol.1-vol.6』。この度、その販売額から、クレジット決済手数料約5%と、著作権管理事業者へ登録済の楽曲に関しては、著作権使用料としてその楽曲の約7.7%を除いた全ての売り上げを、東日本大地震の義援金として、日本赤十字社を通じて寄付する事に致します。

ミュージシャン、デザイナー、ライター、エンジニア、編集部... 皆が出来る事を精一杯行いエネルギーとお金を生み、それらが少しでも被災した皆様の助けになれば幸いです。発売日は、2011年3月17日。我々の思いが、少しでも被災地に届きますように。

飯田仁一郎(OTOTOYチーフ・プロデューサー/Limited Express (has gone?)/BOROFESTA等)


東日本大地震救済支援コンピレーション・アルバム
『Play for Japan』

■タイトル
Play for Japan

■販売
音楽配信サイトOTOTOY
http://ototoy.jp/
販売ページ
http://ototoy.jp/feature/index.php/20110317

■アルバム
『Play for Japan Vol.1』19曲
『Play for Japan Vol.2』18曲
『Play for Japan Vol.3』18曲
『Play for Japan Vol.4』19曲
『Play for Japan Vol.5』19曲
『Play for Japan Vol.6』19曲

■価格
各1000円/1アルバム

■ファイル形式
mp3(192kbps)

■発売日
2011年3月17日 17:00(予定)

■販売期間
2011年3月17日?2011年5月17日

■義援金
著作権管理事業者に未登録の楽曲
95% 義援金 / 約5% クレジット決済手数料
著作権管理事業者に登録済の楽曲
87.3% 義援金 / 7.7% 著作権使用料 / 5% クレジット決済手数料

■義援金送付先
日本赤十字社を通じて

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『Play for Japan Vol.1』

1. number0 / cyclorama
2. クラムボン / バイタルサイン(mono)
3. MODLUNG / グリーングラス
4. holiday in tampere club / wave
5. ハレルヤ × あたりめ / エルメス (ROUGH MIX)
6. elekibass / 愛だろ
7. FLEET / Cipher(サイファ)
8. TREMORELA / Echo Echo Echo Echo Echo
9. sgt. / 銀河を壊して発電所を創れ
10. MONO / Follow The Map
11. Aureole / Some Things Return To Me
12. clams / Sundae Bird
13. Parts & Labor / A Thousand Roads
14. the chef cooks me BAND / Golden Target
15. ウミネコサウンズ / 春がくるまで
16. フラバルス / We
17. Asohgi / gagaku
18. world's end girlfriend / birthday resistance / 誕生日抵抗日
19. オガサワラヒロユキ / ラストナイト(RhythmVillage Mix)

ディレクター : 小林美香子 / 佐々木亘
マスタリング : 岩谷啓士郎
ジャケット・デザイン : 名倉剛志

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『Play for Japan vol.2』

1. 高田 渡 / 鉱夫の祈り
2. ショピン / くじらが浮かぶ日
3. 加納良英(and Young...) / ゆめ
4. kama aina / silk necktie(未発表曲)
5. superdumb / trafficlight
6. 安田寿之Toshiyuki Yasuda / Un romanzo della primavera
7. SHABUSHABU / Kodomono March
8. BiS / 太陽のじゅもん
9. STUTS / Keep Ya Head Up (Stay Positive)
10. ASUNA / Long Scarves
11. DODDODO / 猫がニャ〜て犬がワンッ
12. Shinji Mauko a.k.a DMBQ / Boredoms / Inner Structure
13. African Head Charge / God Willing
14. 菊地成孔 / When I am laid in earth
15. 沖 仁 / Will I ever see your face again (feat.畠山美由紀)
16. ヴァガボンドcpa / トワイライト・タイム
17. コシミハル / トロリー・ソング
18. ハリー細野 & THE CHOW CHOW CATS / アモーリ・ディ・アルフレード

ディレクター : 内田武瑠
マスタリング : 高橋健太郎
ジャケット・デザイン : 石井翔太郎

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『Play for Japan vol.3』

1. とりP / 祈り feat.初音ミク
2. Keiichiro Shibuya / our music live 09.12.26
3. ゆーきゃん feat. エマーソン北村 / 空に沈む
4. NGATARI / 小舟
5. YAMANE, Paranel, EeMu / 陽と背中
6. Fragment / ゆらめきポラロイド
7. EeL / 696969
8. convex label / Knife
9. yumbo / これが現実だ
10 .audio active / Freeeeeze
11. タカラダミチノブ / オトノコヘ
12. JAZZIDA GRANDE / Free
13. BooT / Heart Full (BooT Inst)
14. BESHALIST / Gratitude
15. Pawn, Geskia! / Oven Sink Perfect Remix
16. 不可思議/wonderboy / 生きる
17. JB / at home
18. Kip Hanrahan / A Small Map of Heaven

ディレクター : 滝沢時朗
マスタリング : 岩谷啓士郎
ジャケット・デザイン : 古賀鈴鳴( 美術家 / デザイナー / 冬の踊り子 )

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『Play for Japan vol.4』

1. ECD + イリシットツボイ / Rock in My Pocket
2. ガロリンズ / 異ナル
3. あらかじめ決められた恋人たちへ / 錆びる灯
4. TIARA / DIRTY FLOOR IN BRIGHT
5. SAFARI / ツイストアンドシャウト
6. OKI DUB AINU BAND / DUB SAKHALIN
7. BLACK GANION / Vomiting Gifts -Zouto-
8. Limited Express (has gone?) / ナイチンゲール
9. the mornings / マッドチアガール
10. TRADEMARKS / GREAT FIGHTER
11. Earth No Mad From SIMI LAB / Marui feat. MARIA From SIMI LAB
12. GOD'S GUTS / NOTE BOOK
13. younGSounds / ヤングサウンズのテーマ
14. pasadena and クリテツ / Ray of Hope
15. Likkle Mai / Home Sweet Home
16. moools / 分水嶺
17. saddles / Always
18. V/ACATION / park
19. MASTERPEACE / 栄光に近道なし

ディレクター : 西澤裕郎
マスタリング : 溝口紘美
ジャケット・デザイン : 五味岳久

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『Play for Japan vol.5』

1. 松崎ナオ / きよし、この夜
2. folk enough / Rock'n Roll Sunday
3. sakana / Angelique(アンジェリケ)
4. 佐久間正英(Masahide Sakuma) / pour une nuit blanche(眠れぬ夜のために)
5. 青葉市子 / つよくなる
6. halos / 真っ赤だな
7. ユピトーク / 神様がくれたもの
8. 朝日美穂 / 小春日
9. Traks Boys / Starburst
10. STARBOARD / Drive-In(2010Rework)
11. WEARE! / PAIN part2
12. ワールドスタンダード / アキ・アイ (First Version)
13. ロボピッチャー / ファンファーレ
14. BOWZ / Happy ですか?
15. nontroppo / 赤い彗星(ライブ)
16. SEBASTIAN X / DUB湯
17. 柳原陽一郎 / ファミリープラン
18. olenNiu-de-Ossi / 夜明け前の譚詩曲
19. The Corona / 旅人の朝

ディレクター : 渡辺裕也
マスタリング : 高橋健太郎
ジャケット・デザイン : shdesign

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『Play for Japan vol.6』

1. 石毛輝 / Flowers On The Wall
2. SPANOVA / LEGACY
3. トレモロイド / スローモーション
4. dry as dust / 手、掴む 音と音を
5. 東京カランコロン / ヴァージニアだったっけ?
6. WEEKEND / うるさいヤツら
7. PaperBagLunchbox / Watching You
8. Sorrys! / All Light
9. THIS WORLD IS MINE / Trifle Diary
10. idea of joke / No Mercy
11. worst taste / 断絶された平均を睨む
12. THE BITE / トラベリンバンド
13. おとぎ話 / シンデレラ
14. アナ / PLANET
15. broken little sister / don't be afraid
16. lily of the valley / marble chocolate
17. 空中ループ / 小さな光
18. LITTLE CREATURES / Morning People
19. Turntable Films / As I Do Now

ディレクター : 池田義文
マスタリング : 溝口紘美
ジャケット・デザイン : フクモトエミ

トータル・プロデュース : OTOTOY

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2010年03月21日

無題

明日から東京。どちらも素敵なイベントなので、ぜひ遊びに来てください。

シグナレスは久しぶりのライブ、新曲も披露するつもです。

P-VineがYOU TUBEに映像を上げてくれました。


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2010年03月10日

無題

日々感じることは山のようにあるのだけれど、どうもことばが追いついてゆかなくて、困る―いや、自分の中に印象だけが降り積もってゆく感覚は不快ではないので、正確にはそれだけで困っているわけではないのだが、やはり何事かを言わねばならぬ、書かねばならぬ、歌わねばならぬという焦燥はどこかに燻り続けていて、その種火にするには生乾きの材ばかりを自分自身で拾い集めてくる毎日に、あるときふとこれで良いのだろうかと思ったりもするのだった。

とはいえ、福岡にも歌いに行った。未知瑠という素晴らしい音楽家と手紙のやり取りをした。頼まれてあるの強烈な表現者の評論を書いた。先日のJOJO広重さんとのライブを音源にすべく、マスタリングに立ち会った。吸い込むだけではなく、しっかりと呼吸はしているつもり。生きている。
 


明日は、これだ。

7e.p. presents Mt.Eerie & Julie Doiron Japan Tour
2010年3月11日(木) 木屋町UrBANGUILD
http://www.urbanguild.net/


LIVE:
Mt.Eerie(マウント・イアリ)
Julie Doiron(ジュリー・ドワロン)
ゆーきゃん

OPEN/ 18:30 START/ 19:00
ADV./ \3,300(with 1drink) DOOR/ \3,800(with 1drink)


二人の共作によるミニアルバム「LOST WISDON」は、本当に素晴らしくて、去年の秋ごろは「なんか最近良いのない?」と聴かれると、結構な頻度でこの作品を進めていた。

ぼくは一番目、けれど前座ではなく、きちんと演奏時間もいただいいた。今月の京都はこれ一本なので、お時間のある方はぜひ。

万が一、仕事の都合などで、ぼくに間に合わなくても、きっと観に来て損はないはず!
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2010年02月27日

無題

春が近付くと涙腺が緩む。理由はよく分からないけれど、二月末から三月半ばにかけて、季節が劇的に変転する様子を見かけたり、耳にしたり、肌で触れるとき、嬉しいわけでもなく悲しいわけでもなく、ただ目と鼻の後ろ側にある蛇口がぐらぐらする、あの感覚は嫌いではない。


今出川通りから押小路まで、毎朝歩いている。大体は油小路をまっすぐ南へ、ときどきは小川通や西洞院通に道を変えながら行く。中京の町並みには、思っていたよりも町屋が残っていた。「町屋修理」を請け負う会社の事務所(もちろん町屋)も発見、天気の良い日には表で引き戸を塗り直していたりする。


いまいちばんの楽しみは、仲立売あたりにある、梅の枝が二振り飾られている家の軒先。朝晩の往来のたびに、日に日に開いてゆく花の様子を確かめている。一昨日の夕方は西日に溶けるように、かすかに梅の匂いがした。匂いは写真に撮れない。録音もできない。この、その場限りで気化してしまう「何か」が、春を最も春らしくしているのかもしれないな、と思った。
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2010年01月12日

無題

年が明けて、移動したり仕事したりリハーサルしたりライブしたりミックスダウンをしたりしているうちにもう十日も過ぎてしまっていた。書きとめるべきことは無数にあるけれど、それはまた別の場所で追々、ことばに変えて紙面上か画面上か、あるいはうたに変えて空気中か、いずれにせよどこかに落としてゆくことになると思う。

成人の日は東京にいて、山手線を乗り降りする晴れ着の女の子や、付き添う父親、母親の嬉しそうな顔をよく見かけた。昨日は十八きっぷで京都に戻ったあと、ふと思い立って十日戎(翌日は「残り福」と言うらしい)へ繰り出した。えびすさんは耳が遠いので、鐘は大きく鳴らさなければいけないそうなのだ。気のふれたように紐を振り回す若い女性、初老の男性、小さなこども、みんな後ろ姿がほほえましかった。

年はじめのライブは横浜・試聴室。ミシオさんも一緒で楽しかったです。

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2009年11月18日

もう少しだけ書かなくてはならないような気がするのだけど、いまはこれだけ。言い訳じみたことばを溢さない自信が持てたら、また話してみたい。良い一年半でした。ありがとう。
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報告

サンレインレコーズより大切なお知らせ

いつもご利用ありがとうございます。サンレインレコーズです。
このたび、2009年12月13日をもちまして、高円寺駅前での店舗営業を一旦終了することになりました。
3年足らずの短い間でしたが、この小さなお店がこれまで続けてこれたのは、ひとえに皆さんのご愛顧とご声援のおかげです。スタッフ一同、心より感謝しています。
店舗はなくなりますが、このオンラインストアは引き続き営業を行いますので、どうぞご利用ください。イベントへの出張販売も、今まで以上にフットワーク軽く行こうと考えております。ライブ会場でお会いしましょう!
店舗は12/13までは絶賛営業中です!月刊サンレイン次号制作中、スペシャルセール等も近日中に開催予定です。ぜひ一度お立ち寄りください。
今後ともサンレインレコーズをどうぞよろしくお願いします。
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2009年10月23日

無題

ここ数ヶ月ほとんど眠るためだけに存在していた部屋。フライヤーの雪崩、脱ぎ散らかした日常、あちこちで貰うサンプルCD(聴いた後にしまっておく場所がない)は廃墟の町の石畳のように見える。

久しぶりにゆっくり眠れると思っていた。目が覚めたらとりあえず洗濯をして、掃除をして、料理でもしてみようかと思っていた。それが、どうだ。今日やったことは溜りに溜まったメールの返信、ボロフェスタで使ったCDJを駒沢まで返しに行くこと、30日のフライヤー配り。秋の日はつるべ落としと言うけれど、このあっという間に夜になる感覚は季節のせいだけじゃない。タイムマネジメントがもっと上手になりたいのだけど・・・

しかし今日あちこち歩いて気づいたことには、並木の多い東京の街では、秋は案外その辺に転がっていたり、木々に引っかかっていたりするようだ。ちいさい秋、というのはこういうことを指すのかしら、それともああいうことなのかな、あいつらもこいつらもいつの間にか集まって、風に乗って、大きな秋になって誰かを「もののあわれ」のなかに掻き抱いたりするのだろうかと、茶沢通りを歩きながら思った。



さて、来週はこれ。ぜひ遊びに来てください。

aka rui heya
2009年10月30日 (金) 新宿motion


出演:
JOJO広重
とうめいロボ
Qurage(from 山形)
シベールの日曜日
ゆーきゃん

場内音楽:
おすし(ミシオマイfrom埋火)

FOOD:
motion crew

CDR専門店:
高円寺サンレインレコーズ

OPEN 18:00 / START 18:30
DOOR \FREE (2drink、投げ銭制)


10月は、新宿motionの4周年アニバーサリー月間らしい。これは、そのセミファイナルにあたるイベント。赤字上等の豪華投げ銭ライブ。フライヤーもPAも手抜きせずにがんばってみました。

さらに、出演者から一曲ずつ提供してもらい、オムニバスCD-Rを作ります。この日限定で販売する予定。あとは僕の音源だけ…

posted by youcan at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月14日

無題

昔、nanoの楽屋に住んでいた。正確にはnanoになる前のビルの、楽屋になる前の部屋だ。オフィスだったのだろうか、いまは壁になっているあたりの、がらんどうの部屋のど真ん中に、貰い物の折りたたみ式ベッドと衣装ケース、そしてミニコンポだけを置いて10ヶ月程暮らした。一階ではライブハウスの工事が始まろうとしていた。

ボロフェスタは僕がそこに住んでいた2002年10月12日に第一回目を開催。nanoでもボロフェスタが行われるようになって3年目になる今年は、カレンダーがぐるっと廻ってきて12日が最終日。

「日本最小のフェス」は、今年も健在だった。僕にとっては初見となる京都の若手ミュージシャン達、逆に僕やJJが各地で出会い、ぜったいにかっこいいから呼んでみようよ!と提案して出演を決めたバンド、そして僕らのなかではスタンダードにさえなっている重鎮的アーティスト・・どのアクトも確実に場の空気を作り、変え、お客さんに訴えかけるライブをしていたし、お客さんもニュートラルでダイレクトな反応をしながら、イベントが完成されてゆくのを楽しんでいたように見えた。各自のトリのバンドのときに流れていた空気は、まぎれもなく「ボロフェスタ」のそれだった。

僕らはいつだって、自分の観たもの、聴いたものしか信頼してこなかった。凄いライブをみたその夜思わず友達に電話して「すごかった!」とまくしたててしまうように、ただ誰かにこのひとたちを紹介したいんだ、誰かとこの感動を分かち合いたいんだという気持ちをメンバーが出し合って、ラインナップを編み上げてきたのだ。それがボロフェスタの「なんか知らんけど面白そう」というアトモスフィアになっていると思っているのだけど、この3日間はまさにそんな感じだった。スタッフもお客さんもひたすらわくわくすることを望んで集まっている。出演者は全力で期待に応えている。土龍くんお疲れさま!京都っていう街は、やっぱり凄いねえ。

さて、残すところはいよいよ今週末のKBSホールとメトロだけ。今日ほんのすこしだけ仕込みを手伝ってきた。2時間後一旦東京へ戻り、木曜日の夜にまた車で京都へ向かう。京都のみんなの頑張りはものすごい。ラストスパート。皆いい顔をしていた。


これを呼んでいる皆さんへ。もしあなたがボロフェスタという名前を気にかけ、なんとなくでもこのイベントのことを知っていて(僕のブログを読むくらいのひとなのだから大体はそうだと思う)、ただ今年なんらかの理由で行くかどうかためらっているのだとしたら−

ただ僕らを信じて、とにかく遊びにきてみてほしい。

今年の僕らは観て「みたい」とか呼んで「みたい」とかではない、単純に顔を真っ赤にして「こいつら絶対面白いから観てみなよ!!」と言っている。シチュエーションより、ネームバリューより、なにより興奮を最優先にした現場発のフェス。ここであなたが出会う音楽や人々は、ひたすらにおせっかいな主催者が繋がってほしいと思った点と点だ。それらが一つの線になり、面になってゆくときの大きな喜びを、どうか分かち合いにきてほしい。たった二日間と二晩だけど、日々をすこしだけ豊かにする魔法があちこちに転がっているはずだ。

posted by youcan at 05:46| Comment(0) | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月27日

無題

下北を出たのがたぶん7時半ごろ、
そのまま家に帰らず、高円寺へ。
店の丸椅子を並べ、その上でまるくなって二時間ほど眠る。

古着屋さんへ着替えを買いにゆき、
朝ごはんというか昼ごはんというか、思えば昨日の昼以来、文字通りのブレックファーストを口にして、
そそくさと今日が始まった。




未来について考えるのは大事なことだ。
でもそれと同じくらい、
いまについて感じることがとても大切だとはっきり分かる。

とりあえずは、
出会ってくれた素敵なひとたちに心から感謝。また一緒に遊んでください。
posted by youcan at 13:35| Comment(0) | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月26日

無題

先週の話になるけれど、
木曜に中目黒で一緒だった前野健太のライブが、
とてもよかった。


ありがとうと云えばありがとうになるのではなく
愛してると歌えば愛してるになるのではなく
リアリティに近づく方法は決してリアリティを声高に叫ぶことじゃない-

それをはっきりと思い出させてくれる、
でも絶対にそれを放棄していない、うたを聴いた。


前日に下北沢で観たロボピッチャーととうめいロボのときにも思ったのだけれど、
ことばの重みと「音価」のバランスを大切にしている人たちが、好きだ。
響きと意味の出会うところ-なぜここでこの詞がなくてはならないか、感じながらうたをつむぐ人が好きだ。


うたには「歌」と「詩」がある。
「歌」は音楽で「詩」は意味、はっきり分かれたうたのなかにも素晴らしいものはたくさんあるけれど、
「詩」そのものが音楽であることを自覚している「うた」を、僕は愛する。


ただし、翻って自分にそれが出来ているかと問われると、ただ赤面するしかない。
とにかく素晴らしいうたを聴けて嬉しかった、そして僕ももっと頑張らなくては、と思ったという話。


明日はlete。mojocoと二組でやります。
8時半ごろからゆるゆる始めますので、お時間のある方はぜひ。



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2009年08月05日

SU: "Re.PEAT"

JJと一緒にやっているレーベル「JUNK Lab Records」からの新譜。

名古屋のトリオ、SU:のアルバム"Re.PEAT"が発売になった。
リハの合間に京都と梅田のタワーレコードを廻って、試聴機で聴く。何度も聴き返した作品だけど、こうやって店頭で聴くと感慨深い。

音楽を奏でるという行為は、その先に誰かが居てこそ成り立つのだと思う(媚びることとも、見おろすこととも決して違う)。規模や距離では計れない、単純な泣きや笑い、救いや励ましとも違う、[わたしが奏で、あなたが聴き、そして繋がる]という厳然たる事実。ただ、その糸の強さと確かさを信じたいと思う。

どうか聴いてみてください。L.E.やゆーきゃんとは違いますが、ストイックでコズミックで、ほんとうによい作品だと思います。
http://www.junklabrecords.com/news.html





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2009年07月26日

塩屋

塩屋駅に降りると、目の前が海だった。
正確には車どおりの多い国道が駅の南側、線路に沿ってを走っており、海はその向こうだったので、目の前というよりも背中といったほうが正しいのかもしれない。

駅前の細い十字路にはちいさなコンビニが一軒、魚屋、定食屋、喫茶店にケーキ屋、本屋と美容院といった具合。左に折れてほんの少し歩くと、ちいさな橋があり、ちいさなが流れがある-塩屋谷川というらしい。中国山地が漸く始まりだす(あるいは終わる)北の山から瀬戸内海に流れ込む、こういう流れがきっと無数にあるのだろう。用水路のようにコンクリートで舗装されてはいるけれど、川の名前-「谷川」という呼び名は、昔これがどういう流れだったのかを偲ばせるひとつの材料たりえる。


この川に感動したことは、その清らかさと、流れだった。いや、清らかといっても、その日は雨が降ったり止んだりの天気のせいで随分と増水し、濁っていたのだ。だから、ただしくはその「濁りの清らかさ」というべきだろう。カフェオレにも似た色水、けれどその濁流には不純物がほとんどなかった。飲めるんじゃないかと思ったほどに、あんなにも濁り水が綺麗に見えたのは久しぶり。あとで調べると、地元の小学生が月に一度掃除をしているのだとか。ゴミがほとんど混じっていなかったのは、そのおかげだったようだ。さて谷川は橋をくぐりさらにその先、国道の下をくぐって海に注ぐそのだけれど、ちょうどその真下あたりで海から寄せる波と衝突し、時々大きな波のあおりを受けて逆流する。波と一緒に国道を潜ってくる風は汐の匂いがする。このカフェオレは少し塩辛いはずだ。よく見ると端の欄干は錆びている。その脇に立つ標識の柱も、塗りが剥げたところから少しづつ赤茶けはじめている。

水のある街は、水の生きている街は、いい。
そう思いながらすぐ傍のケーキ屋さんに入って、休日の午前をささやかに楽しむおっちゃんの隣のテーブルでレアチーズを食べた。カフェオレは止めにして、ホットコーヒーを頼んだ。
塩辛くはなく、ごく平凡な苦味だった。
初めて降りる駅にも、どこかに忘れてきたような懐かしい休日が落ちていたりするらしい。


posted by youcan at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする