2014年11月20日

続・バックミラーから落っこちてゆくのは

 久しぶりの投稿。いったいどのくらいの人が読んでくれるか、もう皆目わからなくなってしまったけれど。

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 2014年が明けてすぐ、田舎へ戻ってきた。高校を卒業してから十数年ぶりになる地方都市での暮らし。「こっち帰ってくんがなら、クルマないと生きてけんよ」と言われていた通り、ほとんど自転車と市バスだけで京都市内を移動していた生活に交通革命が起きた。あわてて教習所に通い、オートマ限定で手に入れた若葉マーク。最初のころは国道に乗り入れることさえ恐ろしく、できるだけ運転したくない!と思っていたけれど、ようよう慣れるにつれて、窓の外に流れる田園風景を楽しんだり、回り道して海を見に行ったりするような余裕が芽生えつつある。
 クルマ社会が形成されて以来、地方で生きる人たちが当然のように享受しつづけてきた特権−車窓越しに見る昼下がりの田んぼの、夕暮れの国道の、真夜中の点滅信号の連なりの、なんてことのない空の、圧倒的な美しさ。観光パンフレットにも載ることのない、ありきたりな帰り道の景色が、あまりにも壮麗すぎて思わず路側帯沿いに車を停めてしまうことが、この一年足らずのうちに何度あっただろう。
 さらには、音楽だ。後部座席がいっぱいになるほどCDを持ちこんで、i-tunesからカーナビにどっと曲を流し込んで、ときには大声で一緒に歌ったりしながら車を走らせていると、ある瞬間ふと、スピーカーから流れてくる音楽と、車窓の向こうの風景が、シンクロして見える/聴こえることがある。
 そのときの、何かが迫ってくるような、落ちてくるような感覚を、ことばにすることができるか。中古のスズキ・ジムニーの窓の上での、景色と音楽の運命的な出会いについて、誰かに語ることはできるのか―じつは、ある雑誌からお話をいただいていながら、主に個人的な事情により凍結となってしまった連載企画の卵がある。ループするピアノで幕が開き、「夕暮れ時を二人で走ってゆく」という歌い出しから世界のすべてが動き出す、ぼくの人生を大きく旋回させた35分の大曲の一節が、そのエッセイの主旋律になるはずだった。何千部という紙面を借りて響かせることはまだできていないし、もしかしたらもう永遠にそんな機会は来ないかもしれない、とにかくあいつはもう終わったという声が聞こえ始めたら(まあべつにそう言われてもたいして口惜しくはないけど)、きみは、ただぼくに会いに来ればいい。たとえ聴こえるか聴こえないかのぎりぎりの線上でさえも、<うた>が止むことなんて絶対にないと分かるはずだから。ほら、みやこ落ちではなく、退却でもなく、転進でもなく、ぼくはいまも半分夢の中を隅から隅まで駈けているところなんだ。


◇11月23日(日) 富山 フォルツァ総曲輪・ライブホール
「Rachael Dadd + ICHI Japan Tour 2014」
出演:Rachael Dadd + ICHI / ゆーきゃん
開場 18:30 / 開演 19:30
料金 2,500円 *ドリンク代別

◇12月6日(土)京都 livehouse nano
「mogran'BAR  田中亮太大爆発」
ライブ:吉田ヨウヘイgroup / ゆーきゃん
DJ :田中亮太 / 横地潤一 / 426 / 明和真也 / Tomoh / Hasegawa Tomohiro
VJ:山本和世 / TR3
開場 17:00
料金 2,000円 *ドリンク代別

◇12月20日(土) 池袋 ミュージックオルグ
「my letter 1stアルバム レコ発企画」
出演:my letter / ゆーきゃん / HELLO HAWK / H MOUNTAINS / Taiko Super Kicks
開場 17:30 / 開演 18:00
前売 2,000円 / 当日 2,500円*ドリンク代別
チケット予約:my_letter@excite.co.jp

◇12月29日(月)名古屋 新栄Hunny-Bunny
「ゆーきゃんとそふてろとよっく。」
出演:ゆーきゃん / ソフテロ / YOK.
BGM:TSURU(N2B/Kompis) / ryohei(cafe & bar Drawing)
開場 19:00
チケット 1,500円 *ドリンク代別

◇12月30日(火)京都 livehouse nano
出演:ゆーきゃんaka rui heya band / chori(band)
opening song of the world for you:よしむらひらく
詳細未定

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2014年09月01日

京都

 今日はいきなり引用から始めます。

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僕は此の世の果てにゐた。陽は温暖に降り洒〔そそ〕ぎ、風は花々揺つてゐた。
 木橋の、埃〔ほこ〕りは終日、沈黙し、ポストは終日赫々〔あかあか〕と、風車を付けた乳母車、いつも街上に停つてゐた。
 棲〔す〕む人達は子供等は、街上に見えず、僕に一人の縁者〔みより〕なく、風信機〔かざみ〕の上の空の色、時々見るのが仕事であつた。
 さりとて退屈してもゐず、空気の中には蜜があり、物体ではないその蜜は、常住食すに適してゐた。
 煙草くらゐは喫つてもみたが、それとて匂ひを好んだばかり。おまけに僕としたことが、戸外でしか吹かさなかつた。
 さてわが親しき所有品〔もちもの〕は、タオル一本。枕は持つてゐたとはいへ、布団ときたらば影だになく、歯刷子〔はぶらし〕くらゐは持つてもゐたが、たつた一冊ある本は、中に何にも書いてはなく、時々手にとりその目方、たのしむだけのものだつた。
 女たちは、げに慕はしいのではあつたが、一度とて、会ひに行かうと思はなかつた。夢みるだけで沢山だつた。
 名状しがたい何物かゞ、たえず僕をば促進し、目的もない僕ながら、希望は胸に高鳴つてゐた。

 しかもいまどき、たいがいな年齢にもなって中原中也を持ち出してくるぼくの万年書生気質を笑ってください。
 ですが、すこし遅咲きの青春時代を、赤貧と無名を背負いながら、あの街の輝かしい泥濘のなかで過ごしたぼくにとっての<京都>もまた、どこかこの詩の景色と似ているなあと、ふと思ったのです。
 

 くるりが北陸ツアーに来てくれたので、金沢・富山と二日続けて観に行きました。久しぶりに岸田くんや佐藤くん(もちろんファンファンも、ツアーメンバーのカンジくんと洋子さんともです)ゆっくり話せる時間があって、思わず翌日のことも忘れてふらふらになるまで飲んでしまったりした後で、ぼくが彼らにどれほどのものを貰っていたか、あらためて実感しました。ライブはもちろん素晴らしく(演奏は云うまでもなく、新旧織り交ぜたセットリストも非常に感慨深かった)、フロアのど真ん中で爆踊りしたり諸手を挙げて喜んだり大口空けてシンガロングしたりしていたら、カンジくんに「富山に帰っても(メトロで遊んでた頃と)なんも変わっとらん」と笑われましたとさ。
(実はこの後に続けて、まるで音楽雑誌の投書欄のような「くるりと私」的長文をしたためたのですが、恥ずかしくてウェブ上からは消しました。いま、「王様の耳はロバの耳」的な紙きれだけが部屋に残っています。さほど面白くもないですが聞きたい方は酒の席ででも。)




 お盆休みを利用して、メロウくんとアバンギルドでライブをしました。古い相棒と古巣に帰ってきたような感覚。ライブ中のぼくにはメロウくんの絵が見えません。でも、彼がぼくの後ろに投影する線を、色を、にじみを、物語を、どういうわけか感じることができるのです。文字通り<背中を任せられる>メロウくん、半年ぶりに会っても話すことは全然変わらないですし、河原でビール飲んだりアイス食べたり、まるで昨日も会っていて、昨日とおなじように振舞っているかのような錯覚を覚えました。ライブのほかにも、夏の京都を歩き、久しぶりの友人たちに会い、音楽の話からどうでもいい話までを塗り重ね、明け方ひと眠りしてからまた飲みに行ったりなんかもして、いつしか自分の帰る家をちょっと忘れかけたり。そういえばこの一方通行の多い1220歳の街は、ときどきふと磁場がずれたりするんでした。あぶないあぶない。

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(写真はフォトグラファーの勝俣信乃さん。わざわざ神奈川から来て下さった彼女もまた、この街なくしては出会わなかった人です。)


 8月最後の土曜日は、nanoボロフェスタでした。ボロフェスタについては何度も書いていますし、何度書いても書ききれないので困ってしまうのですが、一日しか居られなかった(でも去年はゼロ参加だったので、ましになったのかな)なりに、とにかくnanoボロフェスタがすっかりボロフェスタだったので、うれしくてうれしくて、田舎のクルマ生活の影響で飲めなくなったビールを無理やり飲みました。お客さんもスタッフも本当に素晴らしかったです。ぼくの演奏はといえば、もぐら君にお願いして、マドラグのトリを取らせてもらったんですが、また例によって夢中になってしまって、出来不出来はほとんど覚えていません。ただ、新曲―その名も「マドラグ」という曲を歌いました。これはナツミさんのことを思って書いたのですが、気のせいか、ただの期待か分からないにしろ、カウンターのあの場所にふわっと何かを感じたのは確か。きっと、それなりに良いライブだったのだろうと思います。そういえば本番前にサウンドチェックをしたら、なんだか楽しくなってしまって、カヴァー曲をいっぱい歌いました。それも含めてセットリストを書いておきます。

■サウンドチェック

1. Cruel War
2. スーパースター
3. Femme Fatal
3. 少年時代
5. 500 miles

■本番

1. Don't think twice, it's alright
2. 0764
3. 夕方の縁石
4. サイダー
5. マドラグ
6. エンディングテーマ
7. Pellicule

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(写真はマドラグ店主・三四郎さんのFBから無断で取ってしまいました。いいですよね三四郎さん、こんどカウンター越しにビール奢りますんで。)


 次、この街へ来るのは10月の終わり―ボロフェスタ本祭です。その後はどうなるか分かりません。ただ、新しい曲が新しい暮らしの中で幾つ出来上がってきても、その景色の中に、その影の中に、その温度の中に、やっぱり京都は在り続けるんだろうと思います。<さりとて退屈してもゐず、空気の中には蜜があり、物体ではないその蜜は、常住食すに適してゐた>―空気は絶えず肺から出たり入ったりしていますが、その中に溶け込んだ蜜は、きっと胸の奥に残り続けて、考え方に影響したり、頻繁に郷愁をもよおしたり、折にふれて感受性を震わせたりして、楽しいことや夢のようなことに弱い人間たちの、遠い土地での新生活を素敵に邪魔し続けるんじゃないでしょうか。これまで私の人生をさんざんに狂わせ、遠く離れたこれからでさえも、相変わらず奇妙な道へと誘ってくれるであろう、あの世界の果ての古都とは、なんと厄介な存在なのでしょうか。ねえ、また還ってくるからさ、お願いだからそっとしておいて欲しいところはそっとしといておくれよ。
posted by youcan at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月03日

黄金色してた あの日を見てるだろう

 ひまわりを貰いました。

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 配属先はちがうけれど、同期の新人たちによる、研修グループ仲間で(この説明、わかるかな?)、あるプロジェクトを動かしてみた、その打ち上げの席でのことです。

 内容はさておき、枠組みはいままで作ってきたイベントとよく似ていましたし、職場では<新人>扱いながらも無駄に齢を重ねてきたわけですし、で、なんとなくぼくが中心になって物事をすすめていくことになったのですが、ぼく以外の13人はみんな頭の回転も早く、アイディアも豊富で、熱意があり、なによりオープンなマインドをもっていて、結局は「どうします?そうですね、そうしましょう、任せました」みたいなことしか云わなかった気がします。2ヶ月ちょっとの準備期間、仕事が終わってからファミレスで集まったり、会議が長引いて(ひとりのスタッフに)デートをキャンセルさせてしまったり、真夜中に電話がかかってきたりと、こっちの世界でもボロフェスタみたいな感覚にだんだん近づいていってるのに気付いて、ふと笑ってしまいました。もちろんボロフェスタと違って悪戦苦闘の先に圧倒的な音楽が鳴ったわけではありませんし、ただの研修の一プログラムなわけで、誰からもご褒美を貰えたわけでもない。でもそんなことは二の次、とにかく、誰かと一緒に、誰かのための場所を作るということ、そこにある純粋な喜びはどこに行っても変わらないのだな、と実感したのです。

 つねに<一緒に何かを作っていて楽しいヤツ>でありたいです。十何年も関西に住んでついにノリツッコミひとつ覚えられなかったばかりか、富山弁の会話のテンポにも戸惑い、失語症のリハビリみたいな日々はいまだに終わらないんですが、作るということを通じて交わされるコミュニケーションは、どんな饒舌にもまさるのだと思います。パンがなければケーキを食べればいいじゃない、そして、ユーモアがなければクリエイティブであればいいじゃない。

 そんなわけで、誰かと作るということに絡んで、この先の予定をすこし。

 ○ボロフェスタのチケットが間もなく発売になります。
 先日も書きましたが、今年はボロフェスタの明日を担う若者たちが、例年にも増して、表に出てがんばっています。昨日は西院フェスでチラシ配りをしたそうです。このブログを書いている間にもメーリスでは様々な意見が飛び交い、ぼくは「そう、それそれ!」とか言いながら見ていることが多くなっています。
 個人にとっても組織にとっても、変化に対応すること、創造的に変化すること、そして同時に掛け替えのないものを絶対に変質させないこと、この鼎立は、とても難しいです。ボロフェスタが12年も続いた理由は、おそらく変化と不変のバランスを絶妙なところで見極めてきたからでしょう。そして、そのバランス感覚を、ぼくはおこがましくもJJかぼくあたりが持っていたんだろうと思っていたんですが、どうも違うようです―それは、ボロフェスタに関わるスタッフみんな根底に流れている共通の感覚、あるいはボロフェスタという生きもの自体が持っている適応能力なのかもしれません。
 小難しい話になりそうなのでこの辺にしておきますが、とにかく、みなさん、今年もボロフェスタをよろしくお願します。今後の出演者発表には旬なひとたちが控えていて、あれよあれよという間にチケットは売り切れる可能性があります。お早めにどうぞ。



 ○こんなイベントがあります。

「狂言綺語 第2回」

2014年9月13日(土)富山能楽堂

<出演>
LAKE(from U.S.A / K records)
ogre you asshole
fusigi
smoug

and more...

開場 13:00 / 開演 14:00
3,500円(メール予約のみ/当日未定)

予約/問合せ
kyougenkigo@gmail.com


 ぼくの最後の夢、Kレーベルの看板アーティスト、LAKEの来日公演・富山編はなんと、能楽堂が舞台です。
 こっちに帰ってきて、初めての自主企画となります。とはいえまだ富山の音楽事情もよく知らないままに走り出すのは怖いな…と思い、smoug / TOKEI RECORDS の山内さんに相談したところ、ころころと話が転がり、こんな感じになりました。シチュエーションも、ブッキングも、他にはないものになったと思います。
 LAKE、前回はデュオでの来日だったんですが、今回はバンドセットとのこと。ジャパンツアーの全日程で一番楽しかったといってもらえるはず!富山のみなさん、北陸のみなさん、北陸の外のみなさん、ぜひ遊びに来てくださいな。
 

 ○新しいアルバムに向けてレコーディングをします。今度の土日には山梨へ行って、録音のやり方や、曲のアレンジについて、玄さんと打ち合わせをする予定です(田代くんも来れるかな?)。『あかるい部屋』は、水が高いところから低いところに流れるように出来上がった作品ですが、今度の作品は、水路を通り、様々な景色を抜けて、やがて海に向かう、そんな感じのものにしたいな。
 いつ頃にリリースということは、全然考えていません。基本的にじっくり、ひらめいた時はひらめきに任せて、ほんとうに聴かれるべき音を掘り起こしながら作っていきたいと思っています。ミュージシャンのみなさん、だしぬけにぼくから弾いてくれとか、吹いてくれとか、歌ってくれとかいう電話がかかってきてもどうか驚かないでください。


 ところで、ぼくにとって、ひまわりを扱った曲といえば断然これ。何度かカヴァーを演奏したこともあり、いつだったか、イベントのリハ終わりで一緒になったLOSTAGEの五味くんが突然「あのカヴァー、よかったわ」と声をかけてくれたのがとても嬉しかったのも憶えています。たしか一度、来日予定があったのが、キャンセルになったんじゃなかったかしら(心斎橋のクアトロに来るというのでチケットを買ったけど、行けなかった)。今年のATP、アイスランドでのライブの映像が上がっていました。万が一この人たちが来日して、富山公演をやらせてもらえるとしたら、死んでもいいかもな…大げさかな。この曲、やってくれるかな。

posted by youcan at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々、時々雨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする